鉄分は、血液中で酸素を運ぶヘモグロビン(赤い色素)を合成するのに不可欠な栄養素。体内の鉄分が不足すると、血液中のヘモグロビンが減少し、酸素を各組織や臓器へ運ぶことができずに、顔色が悪い、体がだるい、立ちくらみなどの貧血症状があらわれます。
鉄分は吸収率が低く、不足しがちな成分ですが、食材選びや料理方法などの工夫により、吸収率が向上する栄養素です。レシピを参考に、食事から効率よく鉄分をとりましょう。
コンビーフは牛肉を塩漬けにしたもので、一般に缶詰として売られています。コンビーフには鉄分が牛もも肉の2.5倍も含まれています(100gあたり)。また、ブロッコリーや赤ピーマンにはビタミンCやβ-カロテンが多く含まれます。鉄分は、ビタミンCによって吸収がよくなりますので、この料理は栄養面で効率のよい組み合わせです。コンビーフ缶は保存がきくので、購入しておくと買い物ができないときなどに便利です。
コンビーフをレバーに代えると、さらに多くの鉄分がとれます。鉄分は、特に豚レバーに多く含まれます。レバーは臭み抜きをしてから調理します。ブロッコリーや赤ピーマンの代わりにほうれん草や小松菜、チンゲンサイ、にんじんを使ってもOK。味付けは、しょうゆとみりんで和風にしたり、豆板醤を加えてメリハリをつけたりしてもおいしく食べられます。
ひじきは、鉄分以外にもカルシウム、食物繊維など、不足しがちな栄養素が豊富に含まれている食材です。骨粗しょう症や貧血、大腸がん、便秘などの予防に効果があります。 最近は食べられる機会が減っているようですが、頻繁に食卓にのせていただきたい食材です。今回は、卵や野菜を加えた彩りのよいチャーハンにしました。
ひじきチャーハンにちりめんじゃこや茹で大豆を加えると、さらに鉄分やカルシウムの豊富な一品になります。野菜はレタス、ミックスベジタブル、さやえんどう、さやいんげんなどに代えてもOK。えびの代わりにひき肉、あさり、貝柱などでもおいしく作れます。
宗像 伸子(むなかたのぶこ)
ヘルスプランニング・ムナカタ主宰 女子栄養大学専攻科卒・管理栄養士/山王病院、半蔵門病院栄養部に長年勤務/帝国クリニック栄養コンサルタント/東京家政学院短期大学客員教授
平成6年度(財)国民栄養協会の「有本邦太郎賞」受賞
カラー版 『一品料理500選』医歯薬出版/『1200キロカロリーの献立』日本放送出版協会/『からだにおいしい キッチン栄養学』高橋書店/『一生元気! 50歳からの健康ごはん』海竜社など著書多数。
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