塩分のとりすぎは、高血圧や動脈硬化の引き金になります。1日の塩分の摂取目標量は、男性で9.0g以下、女性で7.5g以下。高齢になると、味覚の低下などでつい味付けも濃くなりがちです。
しかし、塩分の制限が厳しいと食欲不振になりかねません。塩分摂取を抑えていても、調理の際の工夫によって、おいしく食事ができます。レシピを参考に、上手に塩分を控える食生活を心がけましょう。
薄味でもおいしく食べられる工夫として、鮮度のよい食材を使う、酸味の利用、香辛料(カレー粉、わさび、唐辛子、こしょうなど)や香味野菜(三つ葉、みょうが、しその葉など)の利用、揚げ物の利用、うまみの利用などがあります。 今回は揚げ物で、素材の持ち味を外に逃がさない、香辛料(カレー粉)と酸味(酢)を使うなど、減塩効果を充分に出しています。
魚はさわらの代わりに生たら、たい、ひらめ、あじ(三枚おろし)や鶏肉(そぎ切り)にしてもよいでしょう。 野菜は、長ねぎ、トマト、ミックスベジタブル、ブロッコリーでもおいしく作れます。
鶏のひき肉の中にしょうがや長ねぎなどメリハリのある食材を加え、うまみのあるごぼうをみじん切りにして和風ハンバーグ状にしました。のりをつけて焼くことで、香ばしさと、独特な触感が減塩効果を出しています。 しょうゆとみりんを焼き終わりにまわしかけて煮詰めると、しょうゆの味が直接舌に感じられ、満足感が得られます。
鶏ひき肉は豚や牛のひき肉でも。野菜は、玉ねぎ、コーン、れんこん(すりおろしてもよい)、あさつきなど。 焼きのりが食べにくい場合は、小さくちぎってひき肉の中に入れてもよいでしょう。
宗像 伸子(むなかたのぶこ)
ヘルスプランニング・ムナカタ主宰 女子栄養大学専攻科卒・管理栄養士/山王病院、半蔵門病院栄養部に長年勤務/帝国クリニック栄養コンサルタント/東京家政学院短期大学客員教授
平成6年度(財)国民栄養協会の「有本邦太郎賞」受賞
カラー版 『一品料理500選』医歯薬出版/『1200キロカロリーの献立』日本放送出版協会/『からだにおいしい キッチン栄養学』高橋書店/『一生元気! 50歳からの健康ごはん』海竜社など著書多数。
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