「歯周病」は加齢とともにかかりやすくなり、高齢者に至っては約半数が歯周ポケットを有しているといわれています。最終的には歯が抜けてしまう病気で、口腔内の症状だけでなく全身の健康にも関係しています。口腔ケアで"歯周病予防"始めませんか?

口の健康を害する「歯周病」

歯周病は、細菌の感染によって引き起こされる口腔内トラブルの代表的な疾病で、気づかないうちに進行します。歯磨きが上手くできずに歯と歯ぐきの間(歯周ポケット)に歯垢が蓄積すると、歯周病菌が増え歯周病を引き起こします。蓄積された歯垢が石灰化して歯にくっついたものが歯石で、歯周ポケット内にある歯石は歯周病悪化の原因になり、歯磨きでは取り除けません。症状としては、歯ぐきの腫れ・出血・口臭などがあり、末期の状態まで進行した場合には、歯が抜けてしまうこともあるのです。

「歯周病」が体に及ぼす影響

口腔内の症状のみにとどまらず、歯周病が糖尿病や動脈硬化症の悪化を招くなど、全身の健康にも影響を及ぼすことが分かっています。さらに、健康寿命を短くするフレイルにつながることも懸念されています。 フレイルは、健康な状態と要介護との間に位置づけられます。要介護から健康な状態に戻ることは困難なので、フレイルを予防する、または改善することが大切です。

「歯周病」と「フレイル」の関係

歯周病とフレイルの関係は次の通りです。

① 『話す』ことが減る
口臭があると、それを気にするあまり、人と会うことや会話をすることをためらうようになります。そこで心配なのが、社会とのつながりが失われることです。人と接することへの意欲や関心の低下を招き、心身が弱ってしまうことが、フレイルの入口になるといわれています。

② 『食べる』ことが難しくなる
歯周病によって歯ぐきの腫れや痛みがあると、食事の量が減り、硬い食材を敬遠しがちになります。それにより、栄養の偏りや栄養不足に陥ってしまうことも、フレイルを加速させる一因です。

このように、歯周病によって『話す』、『食べる』といった日常生活に欠かせない行為が阻害されることは、心身の健康にも大きく関わってくるのです。

「歯周病」の予防法

次に挙げる3つの習慣で歯周病の発症・悪化を予防し、口内の健康を守りましょう。

① 正しい歯磨き
朝食・昼食・夕食後・就寝前の4回が理想ですが、磨き過ぎにより歯ぐきが傷つくことも有るので、少なくとも朝食後と就寝前の1日2回は必ず磨きましょう。磨く際には、全ての歯に歯ブラシの毛が当たっているか意識しましょう(図)。歯ブラシがきちんと当たっていなければ、いくら時間をかけて磨いても汚れが残ったままの状態になります。歯の隙間など、歯ブラシが届きにくい場所は歯間ブラシやデンタルフロスを使い、磨き残しがないようにしましょう。

歯間ブラシ、デンタルフロス
ブラッシングのポイント

② 食べ物を口に入れている時間や頻度を少なくする
1日3回の食事以外に、おやつをだらだら食べたり、口の中に食べ物が入っている時間が長くなると、虫歯や歯周病の発症・悪化につながります。規則正しい食事の頻度(朝・昼・夜)を意識しましょう。特に、口寂しいときに砂糖が入った飲み物を長時間かけて飲んだり、飴を舐め続けたりする習慣がある方は注意が必要です。

③ 歯科医院で定期的にチェック
少なくとも年1~2回は歯科医院で口の健康状態を診てもらいましょう。虫歯や歯周病の有無はもちろん、日頃の歯磨きの方法も見てもらうことをおすすめします。自分ではしっかりと磨けているつもりでも、奥歯や歯の内側など意外と磨き残しがあるものです。また、強く磨きすぎて歯を傷めている場合もあります。
噛み合わせや口腔粘膜の状態も合わせて定期的に歯科医院でチェックを受けることで、歯周病だけでなくフレイルも予防し、健康を保ちましょう。

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