「ひざ痛」は加齢とともに増加します。その多くは関節軟骨が摩耗したり、半月板がずれることによって起こる「変形性膝関節症」が原因です。予防には、運動で筋肉をつけるとともに、筋肉の柔軟性を高めることが大切です。

膝が痛くなる原因は?

高齢者の場合、ひざ痛の原因でよく見られるものは「変形性膝関節症」です。加齢により関節軟骨や半月板(図1)が摩耗することで発症します。

図1 膝関節の構造
図1 膝関節の構造
図1 膝関節の構造
図1 膝関節の構造

関節軟骨がすり減ると、関節の空間を裏打ちする滑膜(かつまく)の細胞を刺激して炎症を起こします。その結果、膝が腫れたり、熱を持ったりするようになります。膝が腫れるのは、刺激を受けた滑膜から関節液が過剰に分泌されて膝にたまるためです。これが「膝に水がたまった」状態です。こうして関節炎が引き起こされ痛みが現れます。

また、関節の炎症はおさまったのに、痛みが持続することがあります。これは関節の中ではなく、関節周囲の関節包や腱、筋肉に起こる痛みです。関節の炎症がおさまった後、関節包は以前よりも硬くなります。関節包は膝の動きに連動して伸び縮みしていますが、いったん硬くなってしまうと、膝の動きに対応できなくなります。その結果、関節の動きが悪くなり、スムーズに歩くことができなくなるばかりか、関節包が無理に引っ張られて膝が痛むようになります。
膝の曲げ伸ばしがつらくなると痛みを避けるために膝をかばって行動するようになります。そうしているうちに膝周囲の筋肉や腱が縮んで硬くなってこわばり、膝関節に新たな痛みが現れるようになります。

また別の原因としては、膝周りの筋肉の衰えが上げられます。この筋肉には、膝の関節・腱・骨などを支えて、膝の動きを安定させる大切な役割があります。加齢に伴い、関節周囲の筋肉が減少したり柔軟性が低下して硬くなったりすることで、膝の痛みにつながります。

ひざ痛予防には、運動が大切

膝の痛みを和らげるためには、適度な運動で筋肉をつけるとともに、筋肉や腱の柔軟性を高めることが大切です。それにより、膝への負担を軽減させることが期待できます。また、適度に運動をすることで、コラーゲンの産生が促進されたり、関節軟骨に栄養成分(関節液)が行きわたりやすくなったりすることも分かっています。日頃から無理なく歩ける程度の軽いウォーキングや、筋肉の柔軟性を高めるストレッチ体操をおこないましょう。おすすめのストレッチ体操をご紹介します。(図2)

図2 膝痛にオススメのストレッチ体操
図2 膝痛にオススメのストレッチ体操
図2 膝痛にオススメのストレッチ体操
図2 膝痛にオススメのストレッチ体操

痛点ストレッチで局所的な柔軟性を取り戻す

基本のストレッチ体操(図2)に、「痛点ストレッチ(図3)」を加えてみましょう。
痛点ストレッチは、膝周囲の押して痛む部分を両手の親指であえて押すストレッチです。まず、膝の力を抜き、軽い痛みとともに気持ちよさも感じる程度の力で5秒ほど押し、これを繰り返します。これにより、局所的に柔軟性を取り戻し、痛みの改善につながります。こまめに行うと痛みが取れることが多いです。膝蓋骨(しつがいこつ)の周囲はとくに硬くなりやすいので、指で押したときに痛い部分を動かすと有効です。ただし、膝が腫れて熱がある場合や、痛みが非常に強い場合には、強い炎症が起きている可能性がありますので、専門の医療機関を受診してください。

図3 痛点ストレッチ
図3 痛点ストレッチ

3Dで解説!進化する膝の検査

膝の状態を確認するためにはレントゲン検査が一般的ですが、MRI検査は軟骨を直接観察できる点で有用です。最近では、MRIの二次元画像から軟骨を三次元化して示す技術が開発されています(図4)。これにより、関節軟骨の状態がより正確に分かるようになりました。膝の症状を様々な角度から調べられるので、今後のひざ痛治療の進歩に寄与することが期待されています。

図4 MRIによる膝軟骨の三次元画像
図4 MRIによる膝軟骨の三次元画像
図4 MRIによる膝軟骨の三次元画像
図4 MRIによる膝軟骨の三次元画像