テニスやジョギング、ゴルフなどの運動をしているときや、夜寝ている最中に起こりやすい足の「つり」。多くの人が経験したことのあるつらい痛みを和らげるポイントは?

「つる」とは?

「つる」とは、足や手などの筋肉が伸縮バランスを崩してしまうことで、異常な収縮を起こし、元に戻らない状態をいいます。
筋肉は縮めろ緩めろという脳からの指令を受けてバランスよく動かされています。
例えば、横になって寝ているときは筋肉が緩んだ状態にあります。その緩んだ状態の時に脳から縮めろと急に命令が出ると筋肉がつってしまいます。ふくらはぎ(こむら)の内側にある筋肉の運動が制御不能になる「こむら返り」もその一つです。

どんなときに「つる」の?

夜間の「冷え」や「脱水」

寝ている時にパジャマがはだけたり、エアコンの冷気があたったりすることで体が冷えて血行が悪くなると、足がつりやすくなります。
室温設定に気をつけて、パジャマは長ズボンを履くなど体を冷やさない工夫が必要です。
また、体が脱水傾向になると足がつりやすくなります。寝ている間も皮膚や呼吸から水分が失われているため、寝る前にコップ一杯の水やスポーツドリンクを飲むと予防になります。

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筋肉への強い負荷

知らないうちに筋力が衰えた高齢者や運動不足で筋力の低い人が、いきなり激しい運動をしたときや、日常的に運動をしている人でも急に運動量を増やして筋肉に負荷がかかると、足がつることがあります。無理をしないで自分の体力に合った運動量を意識することが大切です。

熱中症

屋外での運動や仕事で汗をかいて、マグネシウムやカルシウムなどの電解質(筋肉細胞などの働きにかかわるミネラル)が体から出て行くと、 足や手などがつりやすくなります。水分補給のときは、ミネラルも意識して摂りましょう。
熱中症は屋内でも起こりやすく、実際、救急搬送される熱中症患者の方は、家の中にいて発症した方が多いようです。屋内外問わず、熱中症対策は万全にしたいものです。

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その他

糖尿病、肝臓障害、腎臓障害などの病気の方は、足がつることが多くなります。
また、腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などがある場合、腰から下肢に向かう神経の異常興奮により足のつりが起こることがあります。
さらに、妊婦など下肢の血流が悪い方も足がつりやすいと考えられます。

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痛みを和らげる方法

寝ている最中や寝起きに足がつり、困ったときは、漢方薬の「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」を飲むと、筋肉の痛みを和らげる効果が期待できます。 また、寝る直前に飲めば足がつることを予防できます。ただ、芍薬甘草湯は血圧上昇、低カリウム血症、下肢のむくみなどの副作用が出やすいので、長期の連用は避けてください。他にも、継続的に飲むことで体質を改善し、足がつりにくい体をつくる漢方薬もありますので、医師や薬剤師に相談してみてください。
つったときはストレッチをして筋肉を伸ばすことも大切です。ただし、筋肉を伸ばしすぎると、筋繊維が切れて痛みが残る場合があるので注意しましょう。

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