日本人にとって身近なお風呂。入浴による健康への効果が様々な研究で明らかになっています。

入浴のメリット

入浴による健康へのメリットは大きく分けて3つあります。

①浮力

お湯に肩まで浸かると、浮力によって体重が普段の10分の1程度になります。
そのため、体重を支えている筋肉や関節を休ませることができ、体全体の緊張がほぐれます。

②水圧

普段、立ちっぱなしや座りっぱなしなど、同じ姿勢で過ごすことが多いと、足がむくみやすくなります。お湯の中で体に水圧がかかると、静脈(心臓に戻る血液を運ぶ血管)にも圧力がかかり、血行が促進されます。その結果、むくみの解消に役立ちます。

③温熱

入浴による最大のメリットは温熱の作用です。お湯に浸かると体が温まり、血管が拡がって血の巡りがよくなります。それにより、全身の隅々まで酸素や栄養分が運ばれます。
また、血の巡りがよくなると、体に溜まっていた疲労物質や老廃物の回収が促進されます。ほかにも、筋肉や靭帯のこりによる痛みは、温まることで緊張がほぐれ、軽減します。

お風呂の適温とおすすめの入浴時間

浴槽

お湯の温度は40℃くらいがよいでしょう。体を温め、血行をよくするためには、体の内側の温度(深部体温)を0.5~1℃あげる必要があります。私たちの深部体温は37℃程度なので、それより少し高い40℃のお湯に浸かることで、深部体温をあげることができます。深部体温と同じくらいの温度のぬるま湯だと体温をあげることができません。一方で、お湯が熱すぎると心身を緊張させる交感神経が活性化してしまい、リラックスできません。心身のリラックスには副交感神経を活性化させることが重要で、それには熱すぎずぬるすぎない40℃がよいと考えられています。
お湯に浸かる時間の目安は10分で、肩まで浸かることが大切です。もっと長めに入ったほうがリラックスできると思う方もいるかもしれません。たしかに長めの入浴でリラックス効果は増しますが、肌のうるおいが必要以上に奪われ、乾燥してしまいます。入浴後は肌の乾燥を防ぐため、なるべく早く保湿しましょう。
※医師や薬剤師から入浴について指導を受けている方はその指示に従ってください。

お湯の温度は40℃くらいがよいでしょう。体を温め、血行をよくするためには、体の内側の温度(深部体温)を0.5~1℃あげる必要があります。私たちの深部体温は37℃程度なので、それより少し高い40℃のお湯に浸かることで、深部体温をあげることができます。深部体温と同じくらいの温度のぬるま湯だと体温をあげることができません。一方で、お湯が熱すぎると心身を緊張させる交感神経が活性化してしまい、リラックスできません。心身のリラックスには副交感神経を活性化させることが重要で、それには熱すぎずぬるすぎない40℃がよいと考えられています。
お湯に浸かる時間の目安は10分で、肩まで浸かることが大切です。もっと長めに入ったほうがリラックスできると思う方もいるかもしれません。たしかに長めの入浴でリラックス効果は増しますが、肌のうるおいが必要以上に奪われ、乾燥してしまいます。入浴後は肌の乾燥を防ぐため、なるべく早く保湿しましょう。
※医師や薬剤師から入浴について指導を受けている方はその指示に従ってください。

浴槽

こんなことまでわかった!入浴による健康効果

入浴がもたらす健康への効果について、近年、新しいことが分かってきています。

①毎日、浴槽に浸かって入浴する人ほど幸福度が高い

静岡県に居住する6千人を対象に入浴(浴槽に浸かる)と幸福度との関係を調べました。幸福度とは個々の人がどのような思いで暮らしているかを数値化したもので、国際的にも使用されています。これは、所得と必ずしも合致しているわけではなく、所得が高くても幸福度が低い場合もあります。
調査の結果、毎日浴槽に浸かっているグループでは幸福度の高い人の割合が54%であったのに対し、毎日浴槽に浸からないグループでは44%でした。毎日浴槽に浸かる人はそうでない人と比べて、幸福を感じている方が10%も多いことが分かりました(※1)。

②浴槽に浸かる入浴が、新たに要介護になるリスクを減らす

全国18市町村に居住する高齢者約1万4千人を対象に、3年間の追跡調査を行いました。この調査では浴槽に浸かる入浴の頻度と、その後の新規要介護認定との関係を調べました。その結果、週に7回以上入浴する高齢者は、週に0~2回入浴する高齢者と比べて、要介護認定のリスクが約3割も減少していることが分かりました(※2)。

③浴槽に浸かる毎日の入浴が脳心血管疾患のリスクを減らす

秋田県、岩手県、東京都、長野県、沖縄県に住む男女約3万人を対象に19年間の追跡調査を行いました。この調査では浴槽に浸かる入浴の頻度を尋ね、脳心血管疾患の発症との関係を明らかにしています。浴槽に週5~7回浸かるグループは週2回以下のグループと比べて、心筋梗塞や脳卒中などのリスクが約3割低下していました(※3)。

※1 J Jpn Soc Balneol Climatol Phys Med 2014; 77(2):171-181.
※2 J Epidemiol. 2019; 29(12): 451-456.
※3 Heart.2020; 106(10): 732-737.

早坂先生イラスト
幸福度の上昇や、要介護、脳心血管発症リスクの減少は、入浴の温熱作用による血行促進、浮力によるリラックス効果が一因と考えられています。入浴が医学的に研究されることで、こうした良い効果が分かってきました。普段はシャワーだけという方もぜひ浴槽に浸かってみてはいかがですか?
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