かぜにはさまざまな症状や原因があります。身近な病気だからこそ、よく理解しておけば、いざというときの対処に役立つはずです。「そもそもかぜってどうしてかかるの?」、「対処法や予防法を知りたい!」そんな疑問を解決しましょう。

かぜの正体

「かぜ」とは、くしゃみや鼻水、せき、のどの痛みなど呼吸器に現れる症状をまとめた名前で、その原因がわかる前から広く使われていました。症状の程度はさまざまですが、ほとんどは自然に治ります。
ではなぜ、"かぜは万病のもと"といわれているのでしょうか。それは「かぜ」が原因で他の病気になるということもありますが、多くの病気の初期症状がかぜのような症状ではじまるため、かぜの裏には他の病気が隠れている可能性もあるという注意喚起の意味があるといえます。

かぜの症状
かぜの症状

かぜの主な原因はウイルス

かぜの原因は細菌やウイルスといった目に見えないさまざまな微生物によるものですが、圧倒的に多いのがウイルス。ウイルスの種類によってそれぞれ好発時期があり、季節によって原因となるウイルスに違いがあります。夏のかぜは子どもに多いイメージがありますが、症状が出にくいだけで大人もかかる可能性があります。
普段はおとなしいかぜウイルスですが、ときに胃腸炎や肺炎、髄膜炎、脳炎などの重い合併症を起こすことがありますので、症状の変化には注意が必要です。

主なウイルスとその症状
好発時期 ウイルス名(カッコ内は通称) 主な症状
春・秋 ライノウイルス せき・のどの痛み・
鼻水・鼻づまりなど
アデノウイルス(咽頭結膜熱・プール熱) 発熱・のどの痛み・目の充血
エンテロウイルス (ヘルパンギーナ) のどの痛み・発熱
(手足口病) 発疹・発熱
コロナウイルス 鼻水・鼻づまり・せき・発熱など
RSウイルス せき・発熱
インフルエンザウイルス 悪寒・高熱・関節痛・筋肉痛
ノロウイルス(おなかのかぜ) 下痢・嘔吐・腹痛・脱水
ロタウイルス(おなかのかぜ)

※新生児・乳幼児は肺炎や気管支炎に注意が必要

感染性胃腸炎は脱水と感染の広がりに注意

感染性胃腸炎は、ノロウイルスやロタウイルスなどが主な原因で「おなかのかぜ」といわれることもあります。症状は嘔吐・下痢が中心で発熱、腹痛、脱水などを伴います。
かかってしまったときに注意したいのは、嘔吐や下痢などで水分が体外に出てしまうことで起こる脱水です。尿の回数がいつもより少なくなってきた場合は要注意。特に高齢者は脱水に気づきにくい傾向にあります。水分補給は水だけではなく、足りなくなった電解質を補えるスポーツ飲料(症状が軽い場合)、あるいは経口補水液がよいでしょう。脱水は症状をさらに悪化させてしまうので、何よりもこまめに水分を補給することが重要です。
また、感染の広がりを防ぐためにもウイルスが大量に含まれている嘔吐物や下痢便には直接触れないよう注意し、処理後には消毒と丁寧に手を洗うことを徹底しましょう。

インフルエンザの重症化に要注意

インフルエンザは、インフルエンザウイルスが原因で、かぜとは明らかに違う症状が特徴です(表参照)。老若男女問わず感染するインフルエンザですが、特に気をつけたいのが抵抗力の弱い高齢者です。
高齢者の中には、急激な高熱や関節の痛みが現れず、はっきりしない症状がだらだら続くことがあります。これらの症状が続くようであれば、インフルエンザだけでなく肺炎や結核など他の病気が潜んでいる疑いもあるので医療機関を受診してください。

表)かぜとインフルエンザの症状の違い
かぜ インフルエンザ
症状の出始める場所 局所(鼻・のど) 全身
進み方 ゆるやか 急激
発熱 37〜38℃未満の熱 38℃以上の高熱
主な体調の変化 くしゃみ、鼻水・鼻づまり、
のどの痛みなど
足腰や関節に強い痛み・悪寒など
治るまで 一定ではない 7〜10日くらい(熱が下がってから2日間は学校の出席は停止)

出典:「かぜと新型インフルエンザの基礎知識」(岡部信彦著、少年写真新聞社)より一部改変

ワクチン接種で予防を

インフルエンザは流行前にワクチンを接種しておくと、かかっても軽くすんだり重症化しにくいといわれています。抵抗力の弱い高齢者などがインフルエンザを発症すると、細菌性肺炎などの合併症にかかり重症化する恐れがあります。この状況に陥ると、生命を左右する場合もあるので、できる限り発症を防ぎ、発症しても重症化を防がなければなりません。
また、インフルエンザワクチンとあわせて、肺炎球菌ワクチンを接種し肺炎を予防することも大切です。

かぜの対処法

かぜをひいたかな、と思ったら早めに対処しましょう。
  • 安静にして睡眠を十分にとる。
  • 栄養補給より水分補給を第一に。
  • 症状をやわらげるには市販薬を服用するのもよい。
  • 症状が重かったり、だらだらと長引くようであれば我慢をせず、医療機関を受診する。

知っておきたいポイント!

Q.かぜをひいたときは、お風呂に入っていいの?
軽いかぜの場合は、お風呂で汗を流してさっぱりすれば、よく眠れて回復にも役立つでしょう。しかし、熱すぎるお風呂では体力を消耗して逆効果になることもあるので、体の具合にあった"気持ちいい"お風呂にするのがポイントです。

Q.服をたくさん着て汗をかくべき?
熱が上がって寒気がするときには暖かく、熱を放出して暑いときには薄着にします。言葉が話せない赤ちゃんや介護を要するお年寄りなどは、汗のかき方やおしっこの量などを見ながら着るものや布団を調節してあげることが大切です。汗をかいたままにしておくと、体が冷やされて体力を消耗してしまうので、こまめに着替えるようにしましょう。

Q.水分補給は何がいいの?
食事が摂れる場合には水やお茶、子どもは薄めのジュースなどでもよいのですが、食事が摂れなかったり胃腸炎などのときには、電解質不足を防ぐために経口補水液が有用です。かぜや胃腸炎のときは栄養補給より、水分補給を第一に考えてください。

Q.かぜ薬はどうやって選ぶべき?
かぜ薬(総合感冒薬)は、どの症状にも広く効くようにつくられており、大きく分けると、解熱鎮痛作用のあるイブプロフェン製剤とアセトアミノフェン製剤の2つがあります。迷ったときには、薬剤師・登録販売者によく相談し、適切な薬を選んでもらいましょう。なお、小児に解熱鎮痛薬を使用する場合には、原則としてアセトアミノフェン製剤が好ましいといわれています。

イブプロフェンとアセトアミノフェンの違い(市販薬)
イブプロフェン アセトアミノフェン
特長 解熱、鎮痛効果が高い 解熱、鎮痛効果は弱いが、
小児における安全性が高い
服用年齢 15歳以上 2歳以上

※3か月以上のお子様から服用できるものもありますが、2歳未満の乳幼児は医師の診察を優先してください。

Q.病院でかぜ薬と一緒に胃腸薬が処方されることが多いのはなぜ?
主に、抗生物質(抗菌薬)によって胃腸障害が起こるのを防ぐためです。
市販薬を選ぶ際に、胃への負担が気になる場合は薬剤師・登録販売者に相談しましょう。

かぜ薬は適切な使用を

かぜをひいたとき、以前処方されて家などに残っている抗生物質(抗菌薬)を服用することはやめてください。抗生物質は細菌感染に使用するものであり、かぜなどのウイルス感染症に用いると症状を悪化させることがあります。また、大人用の解熱剤やかぜ薬は絶対に子どもに服用させてはいけません。子どもに用いると症状を悪化させ、思わぬ副作用が発生することもあります。また、インフルエンザなどでは急性脳症を悪化させる原因となる場合もあります。使用に際して不安のある方は、自己判断せず薬剤師に相談したり、医療機関を受診するようにしてください。

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かぜの予防法

かぜの予防は、病気の原因となるウイルスの侵入を防ぐことが大切です。ウイルスの感染経路を知って予防しましょう。

ウイルスの感染経路

ウイルスが空気中に長く漂うことはほとんどありません。そのため空気中のウイルスを直接吸い込む空気感染はまれで、飛沫感染や接触感染に注意が必要です。

ウイルスの主な感染経路
空気感染
空気中のウイルスを吸い込んで感染
はしか、水疱瘡、結核など限られている
飛沫感染
"せき"や"つば"などに混ざったウイルスを吸い込んで感染
インフルエンザ、マイコプラズマなど
多くの呼吸器の感染症
接触感染
ウイルスに直接触ることで感染
ノロウイルス、かぜウイルス、
エンテロウイルスなど
媒介感染
飲食物や動物、昆虫などを介して感染
ノロウイルス、狂犬病、日本脳炎、デング熱など

出典:「かぜと新型インフルエンザの基礎知識」(岡部信彦著、少年写真新聞社)より一部改変

毎日できる予防法

感染経路を考えて、ウイルスの侵入を防ぐことができれば、感染を避けることができます。

  1. 手を洗う
    普段、いろいろなものに触れる機会の多い"手"は病原体にも触れやすいため、手を清潔にすることは感染症を防ぐ基本です。
    手をきれいに洗うときは石けんを使った方がよいのですが、石けんで手が荒れやすい人や石けんがないときには、あるつもりで手を隅々までこすり合わせて、丁寧に洗ってください。石けんを使ったときと同じくらいきれいになります。
  2. マスクをする
    飛沫感染の予防にマスクは重要です。マスクはウイルスが侵入しやすい口や鼻にバリアをつくります。のどの乾燥を防ぎ、粘膜や線毛の働きを助けてウイルスの侵入を防ぎます。
  3. うがいをする
    水うがいには、ウイルスを洗い流す、病原体の力を弱める、口の中を清潔にして湿り気を与えるなどの効果があります。
    効果的なうがい方法
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    出典:「かぜと新型インフルエンザの基礎知識」(岡部信彦著、少年写真新聞社)より一部改変

  4. 食事や生活リズムを整える
    感染症予防の基本は、
    • バランスのよい食事を摂る
    • 適度な運動で体力をつける
    • 十分な睡眠で生活リズムを整える
    子どもは外に出て遊び、おなかをすかせて食事をして、適度に疲れてぐっすり眠る習慣を。そうすることで体が丈夫になり、感染症への抵抗力を高めることにもつながります。
  5. 温度と湿度の管理
    室内は暑すぎず、寒すぎず過ごしやすい温度を保ちましょう。また、冬場は加湿器などで乾燥を防ぎ、換気を忘れないようにしてください。加湿器に水を継ぎ足す際は、容器内に菌が繁殖する可能性がありますので、よく洗ってから水を足すようにしましょう。