女性の多くが悩んでいるという「貧血」。 その多くは、鉄分の不足によって起こる「鉄欠乏性貧血」といわれています。その原因と予防・改善方法について詳しくご紹介します。

貧血の原因は鉄分の不足

貧血は、血液の赤血球に含まれるヘモグロビンが減って体内が酸欠になる状態の事をいいます。ヘモグロビンは赤血球の主成分(赤い色素)で、鉄を含む「ヘム」とたんぱく質である「グロビン」が結合したもの。肺で酸素を取り込んで、全身に運んでいます。

体内の鉄分が不足するとヘモグロビンの量が減り、全身に運べる酸素の量も少なくなります。
体の各組織や臓器が酸欠状態になって貧血の症状が現れるのです。

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体内の総鉄量を知ろう

鉄の一日の摂取推奨量(74歳未満の成人)

男性 7.5mg
女性 11mg(月経がある場合)、6.5mg(閉経後)
※女性は年齢・状況により異なります。
出典:日本人の食事摂取基準(2020年版)

妊娠・出産ではおよそ1,000mgの鉄の排出がある

成人の体内にはおよそ4,000mgの鉄分があり、その70%は赤血球のヘモグロビンです。
残りは肝臓や脾臓にある貯蔵鉄、筋肉や皮膚にある組織鉄です。
体内にある鉄分の99%が、脾臓で再利用されています。

鉄分不足の原因は?

偏食・ダイエットによる鉄分の摂取不足

食事量が減ると鉄の摂取量も不足しがちになるので、貧血を起こしやすくなります。ダイエットで食事を制限する思春期の若者や、食が細くなる高齢者は特に貧血に気をつけましょう。また、外食やインスタント食品が多いと、食事がかたよりやすく、結果的に鉄の摂取量が不足しがちになるので、その場合も気をつけましょう。

成長期や妊娠・授乳期など鉄分の需要増加

成長期や妊娠・授乳期は、体が必要とする鉄分の量が増えます。また、スポーツを日常的に行う場合、大量の酸素を必要とする筋肉トレーニングでは、体が必要とする鉄分の量が増えます。これらの場合、結果的に、通常の摂取量では不足することになります。

月経・痔・子宮筋腫などが原因の出血過多

子宮筋腫などがあると、毎月の月経出血が多くなりやすく、また、痔などでたとえ少量でも、長年慢性的に出血が続く状態が積み重なると結果的に鉄分が不足してしまいます。
※女性は月経による出血で貧血になりやすいだけでなく、もともと男性より体に貯えられる鉄が少ないので日頃から意識することが大切です。

貧血の症状を見逃さないで!

前述の通り、貧血は体の各組織や臓器が酸欠状態になることです。酸欠状態は脳にも大きな影響を与え、めまいや頭痛といった、代表的な症状としてあらわれます。筋肉が酸欠状態になると、全身がだるく疲れがなかなか取れないといった症状も起こります。
また、貧血が起こると皮膚を赤くしている色素が減ることにより赤みがなくなり、黄色っぽいくすんだ肌になります。 他にも、目の結膜(まぶたの裏の粘膜)の赤みがなくなり白っぽく見えたり、爪が白く見えるようになると貧血が疑われます。
ひどい貧血が続くと爪がスプーンのように反り返ったり、弱くなって割れる、表面がはがれる、みぞができて爪の表面がでこぼこになるなどの症状が起こります。体に起こる変化を見逃さないようにしてください。

鉄不足を改善しよう!

鉄不足には日頃の食事改善が基本です。また、症状によっては鉄剤などの貧血改善薬を利用することも必要になります。

まずは、規則正しくバランスのよい食生活による鉄分の摂取に気を配ってください。鉄分は肉や魚類などに多く含まれる「ヘム鉄」と、野菜や海藻、貝類などに多い「非ヘム鉄」があります。非ヘム鉄はヘム鉄に比べ吸収率が低いので、動物性食品と一緒にバランスよく食事で摂ることがポイントです。また、ビタミンC、カルシウムと共に摂ることで、より鉄の吸収率を高めることができます。

  • たんぱく質、ビタミンC、カルシウム・・・鉄の吸収に役立つ
  • ビタミンB12、葉酸・・・造血を助ける
  • ※貝類は一般的に「非ヘム鉄」ですが、赤貝だけは「ヘム鉄」といわれています。
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貧血の改善には医薬品も!

血液中の鉄不足は改善されても、貯蔵鉄が不足した状態はしばらく続きます。
鉄剤などの貧血改善薬の服用は2~3カ月は続ける一方、常に鉄の摂取を意識してバランスのよい食事を心がけてください。胃の弱い人は貧血改善薬を飲むと胃腸障害を起こすことも。胃を通過して小腸で溶ける腸溶性タイプなら、胃に負担がかからず安心して服用できます。

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