オフィスでも気軽に取り組めるストレスの発散法などを紹介します。ついやってしまいがちな「誤ったストレス解消法」も紹介しますので、ストレスで悩んでいる方はぜひ参考にしてください。

オフィスでもできる!ストレスを発散するお手軽セルフケア5選

ストレッチをしている女性

ここでは、ストレス発散に役立つセルフケアをいくつか紹介します。
まず、オフィスでも実践できる手軽なストレス発散法5選です。

1.その場でストレッチしたり、歩いてみる

デスクワークでは同じ姿勢で長時間過ごすことが多いため、体のコリに悩まされている方も多いでしょう。特に、仕事量が多い・人間関係がうまくいっていないなどのストレスがあると、筋肉が緊張してますますコリがひどくなります。
このような場合は、1時間に数分で良いので体の関節や筋肉をストレッチして伸ばしたり、歩いたりすることで、脳や体の血流を増やしてリラックスさせる効果があり、ストレスの軽減につながります。
椅子に座ったまま軽く伸びをしたり腕をぐるぐる回したりすることで、体はほぐれてきます。手を伸ばすのがはばかられる場合は、体を後方に軽くひねる・肩や首をゆっくり回すだけでも構いません。
また座りっぱなしだと全身の血流が悪くなってしまうため、席を立ってトイレに行きがてら廊下を歩いたり、階段を上り下りするのも効果的です。

2.深呼吸をする

不安や緊張が高まると、気が付かないうちに呼吸が浅くなってきます。
ストレスを感じるときや呼吸が浅くなっていることに気付いたときは、意識して深呼吸をしてみましょう。
深呼吸をすると、交感神経の興奮が抑えられて副交感神経が優位になり、リラックスしやすくなります。
深呼吸のやり方は簡単です。
背筋を軽く伸ばしたら軽く目を閉じ、お腹に手を当ててゆっくりと口から息を吐いてください。息を十分に吐き出したら、今度は鼻からたっぷり息を吸いこみましょう。これを何回か繰り返すと、だんだん気持ちが和らいできます。
なお、息を吐くときはお腹をへこませることを意識し、息を吸うときはお腹をふくらませるようにしましょう。このようにお腹を使う腹式呼吸をすると、より深く呼吸できます。

3.甘いものを少しだけ口にする

「ストレスがたまるときは甘いものを口にすると良い」という話を聞いたことがありませんか。
実は、ストレス時に甘いものなどの糖質を適量摂ることは、科学的にも正しいと考えられています。
「幸せホルモン」とも呼ばれるセロトニンは、心の安定や安心感をもたらす神経伝達物質です。このセロトニンの合成には、血糖値が上昇したときに分泌される「インスリン」が重要な役割を果たします。というのは、セロトニンの原料となる「トリプトファン」は、インスリンにより脳内に運ばれるからです。
つまり、甘いものや炭水化物などの糖質を食べて血糖値が上がるとインスリンの分泌がうながされ、脳内に運ばれるトリプトファンの量が増えます。すると、セロトニンの合成が高まるため、ストレス軽減効果が期待できるとされています。
また、糖質から作られるブドウ糖は、脳のエネルギー源となる重要な成分です。勉強や仕事で脳が疲労して集中力や判断力が鈍っているときに甘いものを食べると、脳をリフレッシュする効果が期待できます。
しかし甘いものを食べすぎると、血糖値が急上昇したあと急下降するため、結局はストレスが倍増してしまいます。
甘いものを多量に食べることで血糖値が上がると、一瞬はストレスが軽減して心地よく感じますが、そのあと血糖値が急激に下がるときに体に倦怠感が出たり、精神的にも不快な気分が誘発されてしまいます。
もちろん甘いものの食べ過ぎは、糖尿病や脂質代謝異常症の原因となりますので健康にもよくありません。
そのため仕事や勉強でストレスを感じたら、甘いものを少量だけ食べるのは良いのですが、スイーツをドカ食いしてストレス発散するということは絶対にやめてください。
ちなみに成人のおやつの適量は、120キロカロリーから200キロカロリー程度といわれています。
アーモンドチョコならば4~5粒程度、小さめのプリンなら1個、ショートケーキなら半分程度となります。
くれぐれも食べ過ぎないようにして、甘いものと上手につきあって、気分転換に活用してください。

4.よく噛んで食べる

ストレスを感じたときに、ガムやグミなどの噛み応えのあるものを口にするのも手軽なストレス発散方法です。
ウォーキングやスクワットなど一定のリズムで繰り返し行なう運動(リズム運動)には、セロトニンの分泌をうながす作用があります。そして物を食べる際の咀嚼運動にも、同様の作用があることがわかっています。
セロトニンの分泌が高まるのは、リズム運動を始めて5分程度経ってからです。セロトニン濃度がピークに達するまでには20~30分ほどかかるため、ガムなどを口にする際は時間を意識してよく噛むようにするとよいでしょう。普段の食事に、歯ごたえのある食材を取り入れるのもおすすめです。
さらに、ストレスのある状態で咀嚼運動をすると、「不快」に関する情報が脳に送られにくくなり、アドレナリンなどのストレス関連物質の量が低下することも明らかになっています。
よく噛むと、脳の血流量が増えて集中力がアップし、記憶に関与する「海馬」の活性化にもつながるため、ストレス解消と同時に仕事の効率アップにもつながるでしょう。

5.気分転換できるグッズを上手に使う

「デスクで煮詰まったときに、こっそりストレスを発散したい」という場合には、自分好みの気軽に気分を転換できるグッズを活用してみましょう。
仕事とはまったく関係がなくて、自分にとって心地よいことや楽しい作業をすると、緊張や興奮が抑えられて、気持ちをすっきり切り替えることができます。
たとえば手のひらサイズのストレス解消グッズなどで、触り心地が良く、思わず何度も握りしめてしまう人気のおもちゃ、エアパッキンの気泡をつぶすような感覚が楽しめるグッズ、ボタンを連打できるスイッチ付きのキーホルダーなどは、触っているだけで無心になれます。こうしたグッズが好きな方は、ぜひ活用してみてください。
また自分の愛している家族やペットたち、友達たちとの楽しい写真や動画をスマホなどで短時間見るのも良い気分転換になるでしょう。
自分の好きな音楽を1曲だけ聞いてみるというのもお勧めです。

ちょっと時間があるときに!おすすめのストレスケア4選

次は、いつもより少し時間があるときにおすすめのストレス発散法です。

1.しっかり眠る

睡眠時間が不足すると、疲労が蓄積してストレスにも弱くなります。また、睡眠不足で自律神経やホルモンのバランスが乱れると、心身の不調をまねくことにもなりかねません。
脳や体の疲れを解消してストレス耐性を高めるためにも、睡眠時間をしっかり確保して質の良い睡眠をとるようにしましょう。

しっかり眠る

睡眠の質を高めるためには、眠るときの環境を整えることも大切です。
枕は首や肩に負担がかかりにくいもの、敷布団やマットレスは適度な硬さがあるもの、掛布団はフィット感が良いものを選ぶと、体への負担が少なくなって快眠できる可能性が高まります。
室温は、夏季で26~28度、冬季で18~23度程度が理想です。湿度は、夏・冬ともに50%程度となるように調節しましょう。
なお、寝る前の飲酒・スマートフォンなどの使用は、睡眠の質の低下をまねくため厳禁です。
覚醒作用のあるカフェインを含むコーヒーや緑茶、チョコレートなども、寝る前に摂るのは避けましょう。

2.気を使わない人と楽しく過ごしたり、一人でのんびり過ごす

休日に気を使わない親しい友人や家族とのんびり過ごすのも、ストレス解消にはおすすめです。
気の置けない親しい人と過ごす時間は楽しいものです。一緒にいるだけで気持ちが穏やかになり、ストレスが発散されます。 日頃の悩みを相談して、気持ちを整理するのもよいでしょう。 多角的な意見を聞くことで、ストレスに対する考え方が変わることもあります。 たとえ解決法が見つからなくても、話すだけで気持ちが楽になり、ストレスが軽減されるでしょう。
また、人と会いたくないなと感じる日は、一人でのんびり気ままに過ごすこともお勧めです。
気ままに散歩やショッピングなどを楽しんだり、 好きなドラマや映画を見たり、音楽を聴くなど、時間に追われずに自由にゆったりと過ごしてみましょう。
特に「笑う」と副交感神経が優位になりストレス発散効果が高まります。
お好みのコメディー系の映画や動画を見て笑ったり、愛らしい動物や子供、キャラクターの写真や動画などを見てホッコリすると、より気分がほぐれやすくなるでしょう。

3.趣味に没頭する

時間に余裕があるときは、趣味など好きなことに没頭するのもおすすめです。
本を読む・音楽を聴く・映画を見る・ゲームをする・絵を描くなど、自分の好きなことに夢中になると、日々のストレスから離れられます。無理をする必要はないので、自分に合う方法でストレスを発散するようにしましょう。
好きなことに没頭してストレスが軽減されると、仕事などにも意欲的に取り組めるようになります。ストレスをため過ぎないためにも、「オン」と「オフ」を上手に切り替えるようにしましょう。

4.湯船につかる

普段はシャワーのみで入浴を済まされている方も、いつもより少し時間があるときは、湯船にゆっくりつかるようにしましょう。
湯船につかると、血行が良くなるため疲労回復に効果的です。また、浮力で体の緊張がほぐれるため、身も心もリラックスしやすくなります。 38~40度くらいの湯船につかる、あるいは半身浴をするなどして、心と体をストレスから解放しましょう。

湯船につかる

また、湯船につかるのは、寝つきが良くなるという点でもおすすめです。
38度くらいのぬるめのお湯の場合は25~30分程度、42度くらいのお湯の場合は5分程度つかると寝つきが良くなります。半身浴の場合は、約40度のお湯に30分程度つかるようにしましょう。
ただし、寝る直前の入浴はかえって寝つきが悪くなるおそれがあります。眠りを妨げないために、就寝の2~3時間前に入浴するようにしましょう。

【注意!】やってはいけないストレス解消法

ストレスを解消する方法はいろいろありますが、なかには「やってはいけないストレス解消法」もあります。
例えば、飲み過ぎや食べ過ぎ、過度の喫煙は、健康を害するおそれがあるため避けなければなりません。特に過度の飲酒や喫煙は依存をまねくリスクが高いため、要注意です。
「寝だめ」をするのもおすすめできません。しっかり眠るのは良いことですが、昼近くまで寝る・何時間も昼寝をするなどして生活のリズムが乱れると、かえってストレスがたまりやすくなります。
また、過度の買い物やギャンブルもNGです。一時的にはストレスの解消になるかもしれませんが、依存や金銭トラブルなど新たなストレスを生み出すことにもなりかねません 。

日常生活に支障をきたすほどストレスがたまっているときは・・・

心身の健康を維持するためには、ストレスをため過ぎないことが大切です。
しかし、気分が落ちこんでストレスを発散する気力すらない場合や、日常生活に支障が出るほどストレスがたまっている場合などは、早めに心療内科などを受診しましょう。
勤務先に産業医が在籍している場合は、産業医に相談するのもおすすめです。また、公的機関が開設している相談窓口を利用するのもよいでしょう。
大切なのは「無理をしないこと」です。ストレスがつらい場合は早めに専門家に相談して、適切なケアを受けるようにしましょう。

ストレスの原因は多岐にわたります。また、ちょっとした出来事がきっかけで、ストレスを強く感じる場合も少なくありません。しかし、ストレスを放置すると、心や体、行動にも悪影響がおよびます。病気や重大な事故などを防ぐためにも、こまめにストレスを発散するように心がけましょう。
また、オフィスなどでは、軽く体を動かしたり深呼吸したりするだけでもストレス発散になります。適量の甘いもの、ガム、好みのストレス解消グッズなどを机に常備しておくのもおすすめです。そして、しっかり睡眠をとれるように時間を確保して、心と体をストレスから解放しましょう。好きなことに没頭するなど、自分のためだけに時間を使うのもストレス解消になります。
しっかり休養してさまざまなストレス発散法を試しても心身の不調が続く場合は、早めに医療機関を受診してください。適切なケアで、心と体の健康を維持しましょう。

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