眠っているときの「いびき」は健康上のリスクになっています。いびきの問題点とその原因、自分で解消するための3つの方法をご紹介します。

いびきの問題点

いびきは、鼻やのどなどの気道が狭くなったところを、呼吸の空気が通り抜けるときに音が鳴る現象です。いびきの大きな問題点は、睡眠時無呼吸症候群につながってしまうところにあります。これは、眠っているときに一時的に呼吸が止まってしまう病気です。この病気を発症すると、熟睡できずに日中、強い眠気に襲われます。
また、無呼吸によって体が低酸素状態になると、ストレスがかかり交感神経が高ぶって、血圧が高くなります。この状態が長く続くと動脈が硬くなり、脳卒中や狭心症などの疾患を引き起こすことがあります。いびきをかく人がすべて睡眠時に無呼吸になっているわけではありませんが、慢性的にいびきをかいている人は、すでに睡眠時無呼吸症候群であったり、今後、発症したりする危険性が高いと考えられます。

いびきをかきやすい人はどんな人?

いびきの主な原因は、骨格や体形にあります。あごの小さい人、口蓋垂(のどちんこ)の大きい人、扁桃腺が腫れやすい人、肥満の人はいびきをかきやすくなります。太っていると、お腹だけではなく首周り、特に気道の周囲についた脂肪により、気道が狭まって、いびきをかきやすくなります。さらに、いびきをかく人は加齢による筋肉の衰えで悪化してしまう場合があります。また、加齢で舌の筋肉が衰えると舌の一部がのどの奥に落ち込んでしまい(舌根沈下)、気道をふさいでいびきが出ることがあります。
女性よりも男性のほうがいびきをかく人が多いといわれていますが、女性でも閉経を迎えるといびきをかきやすくなります。これには女性ホルモンが深くかかわっており、女性ホルモンが正常に分泌されていれば筋肉の働きが維持され、舌根沈下を防ぐことができます。しかし、閉経によって女性ホルモンの分泌が減少すると筋肉が衰え、舌根沈下が起こりやすくなるからと考えられています。

いびきを自分で解消しよう

いびきを解消するための方法を3つ紹介いたします。
一つ目は舌の筋力トレーニングです(図1)。舌の筋力トレーニングで舌の筋肉を鍛え、いびきを引き起こしてしまう舌根沈下を予防しましょう。

図1 舌の筋力トレーニング
舌の筋力トレーニング

二つ目はシムスの体位で眠ることです(図2)。シムスの体位とは、お腹の大きくなった妊婦さんが眠る姿勢です。体を横向きにして上側の膝を曲げ、下側の脚をまっすぐ伸ばすと安定します。抱き枕を利用するとシムスの体位がとりやすくなります。抱き枕がないときは夏用の布団やタオルを丸めて代用してもよいでしょう。シムスの体位で眠ると舌根沈下が起きず、いびきをかきにくくなると考えられます。ただし、心臓の疾患を持っている方は、横向きになることで、心臓に負担がかかることもあるので注意してください。

図2 シムスの体位
シムスの体位

三つめは良質な睡眠をとることです。睡眠の質がよくないといびきをかきやすくなってしまいます。睡眠の質を上げる方法はいくつかありますが、朝食に一杯の味噌汁を飲むことをおすすめします。味噌には必須アミノ酸の一種であるトリプトファンが豊富に含まれています。体内に取り込まれたトリプトファンは14~15時間ほどかけて睡眠ホルモンであるメラトニンに変化します。メラトニンには自然な眠りを誘う作用があるため、朝食に飲む味噌汁はその日の夜の睡眠の質を高めてくれるのです。トリプトファンは味噌以外にも、納豆、豆腐、牛乳、ヨーグルト、バナナ、卵などに含まれています。お好みに合わせて毎日の朝食にとり入れてみるのもよいでしょう。

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