ノロウイルスは感染力が非常に強いウイルスです。
乳幼児や高齢者などの抵抗力が弱っている人のいる家庭では、感染を拡大させないためにも、正しい予防と対策方法を知っておきましょう。

ノロウイルスの感染経路

ノロウイルスの感染経路は、主にヒトからヒトへの感染と食べ物からの感染に分けられます。ヒトからヒトへの感染は、感染者の嘔吐物や便に触れた手を介してノロウイルスが口から体内に侵入することで起こります。感染者の嘔吐物や便を掃除した後に手をよく洗ったつもりでいても、洗い残しによってノロウイルスが残っている場合もあるので注意が必要です。食べ物からの感染は、ノロウイルスに汚染された食品を生や不十分な加熱のまま食べることで起こります。

ノロウイルスの症状

ノロウイルスは感染してから半日~3日程度で強い吐き気や激しい嘔吐、下痢が起こります。多くは1~2日程度で治まり、自然に回復しますが、嘔吐や下痢によって脱水を起こしやすいので、経口補水液やスポーツドリンクでこまめに水分を補給しましょう。特に乳幼児や高齢者などの抵抗力が弱い人は、症状が長引き、脱水に陥りやすい傾向にあります。尿が5~6時間以上出ないなど脱水が疑われる場合は、すみやかに医療機関を受診しましょう。 ノロウイルス感染による下痢に、下痢止め薬を服用すると体内からウイルスが排出されにくくなり、治りが遅くなるため厳禁です。

ノロウイルスの感染対策

ノロウイルスは、アルコールでは十分に消毒できないため、手指衛生のためには、石けんと流水による入念な手洗いが必要です(下図参照)。環境や物品の消毒には、次亜塩素酸ナトリウムなどの塩素系漂白剤の希釈液を使うとよいでしょう。直接汚染されたものを直接消毒する場合は高濃度希釈液を、それ以外の場合は低濃度希釈液を用います(希釈濃度は下記表を参照)。なお、次亜塩素酸ナトリウムは手指の消毒には用いません。

手洗い方法

出典:「感染性胃腸炎(特にノロウイルス)について」(厚生労働省ホームページ)より一部改変

食材では特にカキなどの二枚貝に注意が必要です。十分な加熱でノロウイルスの感染力が低下すると考えられますので、食べるときは加熱調理をおすすめします。調理の際は包丁やまな板などの調理器具がノロウイルスによって汚染される可能性があるため、他の食材と調理器具を分けるか、最後に調理するようにします。調理後は調理器具を85℃以上の熱湯などで消毒するか、次亜塩素酸ナトリウムをたっぷり染み込ませたペーパータオルなどで拭くとウイルスを失活化できます。また、調理した人はしっかり手洗いをしてください。

嘔吐物の処理方法

ノロウイルス感染によって嘔吐したときは、人を遠ざけ、部屋を換気してください。嘔吐物を処理するときにはマスクや手袋をし、足にはポリ袋などを履いてください。嘔吐物の処理は、ノロウイルスの感染力を失わせる次亜塩素酸ナトリウムが含まれている市販の塩素系漂白剤を水で薄めた高濃度希釈液を染み込ませたペーパータオルで覆い、汚れを静かにふき取ります。さらに嘔吐した場所の消毒は、塩素系漂白剤の低濃度希釈液※1を噴霧しペーパータオルでふき取ります。耐熱性のものであれば、加熱消毒※2も有効です。使用したマスクや手袋等は二重にしたポリ袋に入れ、消毒してから各自治体の指示に従って処理してください。
※1 塩素系漂白剤は色落ちや腐食して困るものには使用しないでください
※2 85℃以上の熱湯で1分間以上が目安

塩素系漂白剤の希釈方法

高濃度希釈液 低濃度希釈液
塩素濃度が5%程度の漂白剤であれば水で50倍に薄める。1%程度であれば10倍に薄める。 塩素濃度が5%程度の漂白剤であれば水で250倍に薄める。1%程度であれば50倍に薄める。
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