
今すぐ心を落ち着かせたい!対策法6選

まずは、今すぐ心を落ち着かせたい方に向けて、以下の6つの対策法を紹介します。
腹式呼吸を取り入れる
腹式呼吸には、自律神経のバランスを整え、気持ちを落ち着かせる効果があります。
腹式呼吸のやり方は以下のとおりです。

(1) 背筋を伸ばし、肩の力を抜いてお腹に手を当てる
(2) 鼻からゆっくりと息を吸い、空気をためるイメージでお腹を膨らませる
(3) 口からゆっくりと息を吐き、空気を出し切るイメージでお腹をへこませる
(4) (2)から(3)を10~20回繰り返す
椅子に座って行なうと姿勢を安定させやすいですが、立ったままでもできます。状況に応じて姿勢を調整しましょう。
心を落ち着かせるポイントは呼吸に集中することです。目を閉じると集中しやすくなります。また、息を吐く際は、息を吸う時間の倍くらいの時間をかけると効果的です。
腹式呼吸は、今すぐ心を落ち着かせたいときだけでなく、習慣としても取り入れることをおすすめします。無理のない範囲で日常生活に組み込んでみましょう。
自律神経の働きについては、本記事の後半で詳しく解説していますので、併せて参考にしてください。
筋弛緩法 でリラックスする
筋弛緩法は、筋肉を意図的に緊張させたあと、緩めることで心身をリラックスさせる方法です。正式名称は「
人は不安や緊張を感じているとき、無意識に体がこわばることがありますが、筋弛緩法では、意識的に体に力を入れることで緊張を解きやすくします。顔、肩、背中、腕、足など、好きな部位で行なえるのが特徴です。
ここでは、顔・肩・背中に焦点を当てて筋弛緩法のやり方を紹介します。まずは、腹式呼吸で息を整えてから始めましょう。
<顔の場合>
(1) 目と口を閉じ、顔全体を顔の中心に集めるようにすぼめる
(2) 5秒ほどキープする
(3) ポカンと口が開くまで顔の力を抜く
<肩の場合>
(1) 両肩に力を入れて、耳に近づけるように持ち上げる
(2) 首をすぼめて両肩を上げたまま、5秒ほどキープする
(3) 一気に力を抜き、肩を下げる
<背中の場合>
(1) 腕を曲げた状態で外側に広げ、肩甲骨を寄せる
(2) 肩甲骨に力を入れたまま、5秒ほどキープする
(3) 一気に力を抜き、上半身を脱力させる
ほかの部位でも、筋肉に力を入れた状態をキープしたあとに脱力する、という流れは同じです。
周期的なため息をつく
「ため息」という行為には、ネガティブなイメージがつきがちです。しかし、実はストレスなどが原因で浅くなった呼吸を整え、心身の緊張をほぐす役割があることがわかっています。普段、無意識に出てしまうため息は、心身を落ち着かせようとする防衛反応なのです。
スタンフォード大学医学部が行なった実験では、意図的につくため息を「周期的なため息(cyclic sighing)」と定義し、これを5分間繰り返すと、心がすぐに落ち着く可能性が高いとしています。
周期的なため息も腹式呼吸と同様に、鼻から息を吸い込み、口からゆっくりと吐き出す方法で行ないましょう。
緊張状態の区切りとして周期的なため息を取り入れると、そのあとの気持ちがリセットして過ごしやすくなります。
ノートなどに今の心情を書いて吐き出す
不安な気持ちなど、今の心情をノートやスマートフォンのメモに書き出してみるのもおすすめです。心理学的には「対象化」と言いますが、文字にすることによって頭のなかが整理され、心が乱れている原因を客観的に判断することができます。その結果、心が落ち着きやすくなるでしょう。
また、心情を書き出すと、「理由もなく物事を良くない方向に思い込んでいた」などの考え方のクセに気付くきっかけにもなります。
リラックス効果のある飲み物を飲む
心を落ち着かせるには、リラックス効果のある飲み物を飲むのがよいでしょう。具体的な飲み物は以下のとおりです。
- ミルクココア
ココアや牛乳には、ストレスを和らげるカルシウムが含まれます。また、ココアには自律神経を整える「テオブロミン」やビタミンB1、たんぱく質も豊富です。ホットで飲むと、リラックス効果がさらに高まります。 - ハーブティー
ハーブの種類によって異なりますが、たかぶった神経を落ち着かせてくれる効果があります。代表的なのは、カモミールやルイボス、ペパーミント、ジャスミンなどです。 - グレープフルーツジュース
ビタミンCが豊富で、イライラやストレスの解消に効果的です。できるだけ果汁100%を選びましょう。
ただし、砂糖やカフェインの摂りすぎは体のストレス反応を活性化させるため、注意が必要です。砂糖の量を調整できる場合は、甘さを控えめにしてください。
心が落ち着く音楽を聴く
心地よい音楽を聴くと、幸せホルモンといわれる「セロトニン」や、やる気と喜びを引き出す「ドーパミン」が分泌されるため、心を落ち着かせる効果が期待できます。
リラックス効果をより高めるには、リラックスしやすい環境を整えたり、音量を上げすぎないように調節したりすることがポイントです。
また、心地よく感じるリラックス系の音楽は、動画サイトや音楽配信サービスなどのプラットフォームにもあるので、検索して聴いてみてもよいでしょう。
日常生活に取り入れたい心を落ち着かせる方法7選

続いて、心を落ち着かせるために普段からできることを7つ紹介します。
朝起きて1日のスケジュールを立てる
その日にやることが整理されていないと脳が余計なことを考えてしまい、不安な感情につながります。朝起きたら1日のスケジュールを明確にしましょう。
カレンダーや手帳にスケジュールやタスクを書き出し、同時にその日の目標も立てます。目標は抽象的でも構いませんが、行動の方向性が定まると、落ち着いた気持ちで過ごすことができます。整理されたスケジュールに沿って穏やかに過ごせたときは、1日の終わりに充実感を味わえるでしょう。
バランスの良い食生活を心がける
体に必要な栄養素が十分に摂れていないと焦燥感や不安感が高まり、感情をコントロールしにくくなります。また、後述する睡眠の質にも、悪影響をおよぼす可能性があります。
現代の食生活では加工食品を手軽に入手できる一方、ビタミンやミネラルが不足しがちで、エネルギーの摂取が過剰な傾向です。偏った食生活にならないよう、1日3回の食事では、さまざまな栄養素をバランス良く摂るよう意識しましょう。
特に、自律神経のリズムを整える朝食はきちんととることが重要です。食欲が湧かない場合や忙しくて時間がない場合は、少量でもよいので朝食をとる習慣を身に付ける必要があります。
なお、「時間がない」と焦ることで自律神経が乱れやすくなるため、できるだけ時間に余裕を持って行動するのがポイントです。
質の良い睡眠をとる
十分な睡眠がとれていない状態が続くと、脳がネガティブな刺激に敏感に反応し、気持ちが後ろ向きになってしまうことがあります。また、適切な睡眠時間を確保するだけでなく、睡眠の「質」にも気を配ることが大切です。
質の良い睡眠をとるには、規則正しい生活を心がけて体内時計のリズムを整える必要があります。朝は太陽の光を浴びて体内時計をリセットしましょう。
また、寝る前はスマートフォンやパソコンの使用を控えることも重要です。スマートフォンなどから出るブルーライトは、体内時計を遅らせて入眠を妨げると考えられているためです。
朝起きたときに「ぐっすりと眠れた」という感覚があれば、質の良い睡眠がとれていると判断できます。
散歩をする
体を動かすことも、前項で紹介した「セロトニン」の分泌につながります。また、脳の神経細胞を修復するBDNF(脳由来神経栄養因子)という物質が、運動によって増加することも明らかになっています。心を落ち着かせ、若々しい脳を保つためにも、簡単に始められる散歩はおすすめなのです。
都会を散歩するよりも、自然のなかを歩くほうが心に良い影響があるとされています。身近に自然を感じられる場所があれば、日光を浴びながら散歩してみましょう。
まとまった時間が取れない場合は、エスカレーターではなく階段を使うなど、日常生活のなかでこまめに体を動かす工夫が大切です。
ヨガに挑戦してみる
ヨガで取り入れられている腹式呼吸やさまざまなポーズは、瞑想を深めるために発展してきたものです。これらのポーズや呼吸法には、ストレスの軽減やリラックス効果などが期待できます。
ヨガによる身体的な変化を実感できるまでには数か月かかりますが、精神的な変化は1回でも感じられることがあります。
特に、朝や寝る前にヨガを行なうと自律神経の切り替えを促してくれるので、精神面への効果が出やすいでしょう。朝は比較的運動量が多めのヨガ、夜は静かなリラックス系のヨガがおすすめです。
簡単なストレッチをする
長時間のデスクワークや運動不足などが原因で、血流が滞っている可能性があります。ストレッチを行なうことで筋肉がほぐれて血流が良くなり、自律神経のバランスも整いやすくなります。
以下で、家や職場で気軽にできる、首・肩・腰のストレッチ方法を見てみましょう。
<首のストレッチ1>

(1) 肩の力を抜く
(2) 頭を右側に傾け、右手を添える
(3) 手の重みを利用してゆっくりと頭を右に倒し、首の左側が伸びるようにする
(4) ゆっくりと元の位置に戻し、反対側も同様に行なう
<首のストレッチ2>

(1) 肩の力を抜く
(2) 頭の後ろで両手を組み、手の重みを利用してゆっくりと頭を前に倒す
(3) ゆっくりと元の位置に戻す
<肩のストレッチ>

(1) 左方向に伸ばした右腕を左腕で抱える
(2) 左腕で押さえるように、右腕をゆっくりと胸に引き寄せる
(3) ゆっくりと元の位置に戻し、反対側も同様に行なう
<腰のストレッチ>

(1) 地面に座り、背筋を伸ばす
(2) 脚を伸ばして右足を組み、上半身だけを右にひねる
(3) ゆっくりと元の位置に戻し、反対側も同様に行なう
いずれのストレッチも、1回(一方向)につき、20~30秒程度の時間をかけて行ないます。またストレッチ中は「ここの筋肉が伸ばされている」という感覚に集中することによって、脳の疲労を緩和する効果も得られやすくなります。
アロマでリラックスする
私たち人間の脳では、匂いの情報を処理する嗅覚中枢と、「扁桃体」をはじめとする感情にかかわる部位とが直接的に情報をやりとりしています。また、嗅覚刺激は自律神経やホルモンのバランスを調整する脳の「視床下部」にも影響を与えやすくなっています。暮らしの中に上手にアロマオイル(精油)などの香りを取り入れて、心身を整える習慣を持っていただきたいと思います。
アロマ(香り)の種類は豊富にあり、例えば、リビングで楽しむなら柑橘系やローズマリー、寝室で楽しむならラベンダーやジャスミンなどのアロマがおすすめです。
また、アロマの使い方には、以下のような方法があります。
- スプレーにして空間に一吹きする
- 水に精油(エッセンシャルオイル)を数滴垂らして枕もとに置く
- 浴槽に張ったお湯に精油を数滴垂らして入浴する
- アロマディフューザーを活用する
好みやライフスタイルに合う香りや方法を見つけてみてください。
心が落ち着かない原因に合わせて対処する

ここまでに紹介した方法からどれを選択すべきかは、心が落ち着かない原因によっても異なります。
心が落ち着かない原因は、大きく分けて以下の2つが考えられます。
自律神経が乱れている
1つ目は、自律神経の乱れが原因で心が落ち着かないケースです。
自律神経には、活動・緊張時に働く「交感神経」と、リラックス時に働く「副交感神経」があり、互いにバランスを取っています。現代人に多いのが、自律神経のうち交感神経が過剰に働きすぎてしまう状態です。
心が落ち着かない以外に、以下のような症状が見られたら自律神経が乱れている可能性があります。
- 手足が冷える
- 慢性的な頭痛
- 肩が凝る
- イライラする
- 意欲が低下する
- 倦怠感がある
このような場合は、腹式呼吸や質の良い睡眠、ストレッチなどの自律神経が整う方法を取り入れると効果的です。
なにか悩み事や不安がある
2つ目は、悩みや不安な気持ちが原因で心が落ち着かないケースです。
悩みや不安は誰もが抱えるものですが、長く考え続けると精神面に悪影響を与えます。できるだけ早く、悩みや不安の原因を取り除きましょう。
先述したとおり、ノートなどに今の心情を書き出してみると悩みや不安をより客観的に見ることができ、原因も見極めやすくなります。
まとめ
今すぐ心を落ち着かせたいときには、腹式呼吸や筋弛緩法などを取り入れるのが効果的です。環境によって可能な場合は、心が落ち着く飲み物を飲んだり、音楽を聴いたりしてリラックスしましょう。
また、普段から心を落ち着かせたい場合は、バランスの良い食事・質の良い睡眠・適度な運動などを心がけることが大切です。適度な運動としては、散歩やヨガ、ストレッチを取り入れてみましょう。
今すぐ心を落ち着かせる方法として紹介したものを、日常生活に取り入れても問題ありません。ご自身の状況に合わせて、ぜひ、取り入れやすいものから試してみてください。