緊張・イライラ・不眠に

MENU

「イライラする」原因とは?
メカニズムや解消法を解説

「仕事や家事・育児が忙しくてイライラする」「イライラして周囲に強く当たってしまう」など、日常生活でイライラする状況に陥り困ってしまう方は少なくないでしょう。
イライラは、ストレスやホルモンバランスの乱れ、睡眠不足などが原因で起こります。イライラが続くと周囲の人間関係や体調にも悪影響を与える可能性があるため、適切に対処することが大切です。
この記事では、イライラするメカニズムや原因、そうした感情がもたらす悪影響、そしてイライラしやすい人の特徴について解説します。併せて、気分を落ち着かせるための対処法もご紹介していますので、ぜひご覧ください。

玉木優子先生

監修:玉木優子先生
たまきクリニック院長

イライラするメカニズムとは

イライラするメカニズムには「交感神経」が関係しています。

自律神経は通常、生命活動を維持するために交感神経(活動・緊張時に働く神経)と副交感神経(リラックス時に働く神経)をバランス良く調整して、さまざまな臓器の機能を制御しています。

しかし、ストレスなどを受けると交感神経が優位になり、このバランスが崩れてしまうのです。

交感神経が優位になると、心拍数や血流が増加して心身が外部の刺激に反応しやすい状態になり、交感神経の働きが強くなると感情のコントロールが困難になります。その結果、普段は気にならない些細なことでもイライラしてしまいます。

ちなみに、心拍数や血流の増加には、副腎から分泌されるコルチゾールや副腎髄質から分泌されるアドレナリン、腎臓から分泌されるレニンなど、複数のホルモンが関係すると考えられています。

イライラするおもな5つの原因

イライラする原因には、ストレスやホルモンバランスの乱れ、睡眠不足などさまざまなものがあります。ここでは、イライラが生じるおもな原因について詳しく解説します。

1.ストレス

先述したとおり、ストレスはイライラを生じさせる原因の一つです。ストレスが生じる要因には、人間関係や仕事、金銭トラブルなどが挙げられます。

例えば、厚生労働省の「令和6年版 過労死等防止対策白書」によると、仕事に関することでストレスを感じている人の割合は、令和5年の段階で約83%にのぼるとされています。このことから、仕事がストレス源となりイライラを感じている人は多いと考えられるでしょう。

仕事以外にも、過去の嫌な経験などが思い起こされる状況に遭遇したり、臭いや音などの環境によるストレスが積み重なったりした結果、イライラにつながることもあります。

出典:厚生労働省|令和6年版 過労死等防止対策白書(概要版)

2.精神的な疾患

精神的な疾患が、イライラを引き起こす原因となっているケースもあります。以下は、イライラが起こる可能性のある疾患の例です。

  • 双極性障害の躁状態
  • うつ病
  • 気分障害
  • 自律神経失調症
  • 統合失調症
  • 高次機能障害
  • 認知症 など

上記のような疾患があるとストレスに対処する余裕が不足し、イライラを感じやすくなる可能性があります。

3.ホルモンバランスの乱れ

ホルモンバランスの乱れも、イライラの原因として考えられるでしょう。

特に女性の場合は、月経周期や妊娠・出産、更年期などで女性ホルモンのバランスが大きく変化するため、イライラにつながる可能性があります。イライラだけでなく月経前に落ち込みや腹痛、頭痛などの身体的症状が出ている場合は、月経前症候群(PMS)が関係している可能性も考えられるでしょう。

また、男性の場合も加齢にともなってホルモンバランスが変化し、イライラにつながることがあります。

4.睡眠不足

睡眠時間が少ない人は、睡眠時間を十分確保している人に比べて怒りの感情が出やすくなる傾向にあります。

また、質の低い睡眠もイライラの要因となるため、注意しましょう。質の良い睡眠をとれない状態が続くと、脳がきちんと疲労回復できず、感情のコントロールに悪影響を与えることがあります。

睡眠不足や睡眠の質が低下する要因には、不規則な生活リズムや体に合わない寝具などが考えられます。

5.栄養不足・血糖値の急降下

現代では、特定の栄養素を過剰に摂取していたり、必要な栄養素が不足していたりと、栄養が偏っている人は少なくありません。この栄養摂取の偏りが、イライラの原因となっている可能性があるのです。

例えば、たんぱく質やビタミンB群、ミネラル(カルシウムやマグネシウムなど)が不足すると、イライラにつながりやすいとされています。

反対に、糖質の過剰摂取がイライラにつながることもあるため注意が必要です。糖質を過剰に摂取すると、血糖値の急上昇と急降下が起こります。急降下して低血糖状態になると、イライラしやすくなるのです。

イライラが与える心身への悪影響

イライラした状態が長時間続くと、家族や友人、職場など周囲との関係に悪影響を与えるおそれがあります。

例えば、イライラしていると精神的な疲労により感情のコントロールが難しくなり、周囲の人に対して攻撃的な話し方や行動を取ってしまうことがあります。攻撃的な言動は周囲からの印象を悪くするだけでなく、イライラの伝播や連鎖によりお互いがストレスを与え合う状態になるおそれもあるため注意しましょう。

さらに、イライラは身体的な症状を引き起こすことも珍しくありません。例えば、ストレスを受け続けると、立ちくらみ・めまい・不眠・血行不良・胃腸障害などをともなう自律神経失調症を引き起こす可能性があります。

イライラすることが多い人の特徴

イライラすることが多い人には、以下のような特徴があります。

  • 完璧主義
  • 固定観念が強い
  • 真面目
  • せっかち
  • 自分の感情を出すのが苦手
  • 人に頼るのが苦手
  • 競争心が強い
  • 他人を過剰に気遣う
  • 他人にコントロールされやすい など

例えば、完璧主義や固定観念が強い人は「こうあるべき」という意識が強く自分にも他人にも厳しくしてしまいがちで、イライラしやすいと考えられます。

また、他人を過剰に気遣う人やコントロールされやすい人は、周囲のトラブルに巻き込まれやすい傾向にあります。その結果、イライラの要因となる心理的負荷がかかりやすいでしょう。

反対に「行動基準は人それぞれと理解している」「固定観念にとらわれすぎない」といった特徴を持っている人は、イライラしにくいとされています。

【心身別】イライラするときの解消法

イライラを解消するには、心と体の両方をケアすることが大切です。ここからは、イライラするときの解消法を心身別にご紹介します。

心のケア

まずは、心のケアに該当するイライラの解消法をご紹介します。

完璧主義を手放す

先述のように、完璧主義の傾向がある人や「こうあるべき」と考えるクセのある人は、物事に対する自分と他人のものさしが異なることを理解する必要があります。

「自分は自分、人は人」と考えれば、人と意見が対立した際にも「こういう考え方の人もいる」ととらえることができ、イライラせずに済むでしょう。

また、常に100点を目指そうとするのではなく「70点ぐらいでもOK」とする意識を持つことも大切です。このほかに、できないことや不足部分ではなく、できることや良い部分を中心に見るようにする、加点方式の考え方を身に付けるのもよいでしょう。

完璧主義を手放すと、自分にも他人にも厳しくしすぎずに余裕を持って接することができるようになり、イライラの軽減につながります。

ゆっくり休む

疲れから来るイライラするときはゆっくりと休み、自分を甘やかすことも重要です。

体を休めるだけでなく、自分にご褒美をあげたり自分の時間を作ったりするのもよいでしょう。そうすることで力が蓄えられ、また頑張ろうという気力につながります。

「自分に合った」ストレス発散法を見つける

自分に合うストレス発散法を見つけて実践することも、イライラの解消に効果的です。好きなことや楽しいと思うことをしたり、趣味に打ち込んだりすることで、ストレス発散とイライラ解消につながります。

ストレス発散法は、人によって異なります。おいしいものを食べる、自然と触れ合う、本を読む、音楽を聴くなど、自分が一番リフレッシュできるものを探してみるとよいでしょう。

好きなことをして過ごすと、自然と笑顔になれます。笑うことはストレス解消や自律神経に良い影響をもたらすとされているため、笑顔になれるような趣味や好きなことを積極的に探してみるとよいでしょう。

親しい人と話す

親しい人や信頼できる人に今の悩みや気持ちを打ち明けることも、イライラの解消に効果的です。人に話すことで気持ちが軽くなったり、悩みの解消につながったりすることもあります。

また、悩みを打ち明けるのではなく、親しい人との他愛ない会話を楽しむこともおすすめです。楽しい会話がストレス解消につながり、イライラの軽減が期待できます。

イライラしているときは、つい人との交流を控えてしまうかもしれません。しかし、ストレスを溜め込まないためにも、つらいと感じるときこそ周囲の人と話しましょう。

イライラの原因にとらわれすぎない

イライラの原因について考えすぎないことも、効果的な対処法の一つです。

原因を意識しすぎるとどんどんネガティブな方向に考えてしまい、よりストレスが増すことになりかねません。イライラの原因への対処法を考えることも大切ですが、考えすぎを防ぐためにも一度原因から離れてみることをおすすめします。

どうしても考えすぎてしまうときは、原因を紙に書き出すのもおすすめです。頭の中だけで考えるのではなく文字にすることで気持ちが整理でき、気持ちが軽くなるでしょう。

体のケア

続いて、体のケアに該当するイライラの解消法をご紹介します。

適度な運動をする

適度な運動によって、イライラの軽減が期待できます。

例えば、ウォーキングやジョギングなどを行うと、すっきりとした気分になるでしょう。また、日光を浴びると、精神の安定に効果的なセロトニンが分泌されてイライラの軽減が期待できるため、意識的に外出してみてください。

ウォーキングやジョギングのような運動以外には、簡単なストレッチもおすすめです。ストレッチをすると、ストレスで緊張していた筋肉がほぐれたり、血行が促進されたりして心身がリラックスし、ストレス解消につながります。

食生活を整える

先述のように、栄養素が偏るとイライラの原因になるおそれがあります。そのため、三大栄養素の脂質・糖質・たんぱく質を欠かさず、バランスの取れた食生活を心がけることが大切です。

さらに、ビタミンやミネラルを含む野菜・フルーツも、ストレスに強い体を作る際に役立つため意識的にとりましょう。

また、月経がある女性は、鉄分不足もイライラの要因となる可能性があります。そのため、食事で鉄分をしっかり補うことが大切です。

十分な睡眠をとる

心身の疲れや睡眠不足によるイライラを解消するには、睡眠の時間や質を見直すことが重要です。

普段の睡眠時間が短い場合は、少しでも早く就寝するように心がけてみてください。夜の睡眠時間を十分にとれない場合は、日中に数十分ほど仮眠するとよいでしょう。

十分な睡眠時間を確保できているのに疲労感がある場合は、睡眠の質が影響しているかもしれません。例えば、就寝前は寝室を明るくしすぎない、寝具や寝間着にこだわるなど、より快適に眠れるよう工夫することで睡眠の質の向上が期待できます。

深呼吸をする

深呼吸も、イライラに対処する方法として有効です。イライラしているときは呼吸が浅くなる傾向があるため、深呼吸で意識的にゆったりと呼吸するようにしましょう。

深呼吸には、自律神経をコントロールして、交感神経と副交感神経のバランスを整える効果が期待できます。深呼吸をすると、交感神経が優位になってイライラしている状態から、副交感神経が優位になるリラックス状態に変わり、イライラを抑えやすくなります。

まとめ

イライラが発生するメカニズムには、交感神経が大きくかかわっています。ストレスなどを受けて交感神経が優位になると外部の刺激に反応しやすい状態になり、普段は気にならない些細なことでもイライラしてしまいます。

イライラのおもな原因には、ストレスや精神的な疾患、ホルモンバランスの乱れ、睡眠不足、栄養不足や血糖値の急降下などが挙げられます。

イライラを解消するには、心と体それぞれにアプローチすることが大切です。心のケアでは、完璧主義を手放すほか、自分に合うストレス発散法を見つけたり、親しい人と話したりするのが効果的です。体のケアでは、適度な運動やバランスの取れた食事を取り入れたり、十分な睡眠をとったりするように心がけるとよいでしょう。

イライラした状態が続くと周囲との人間関係に悪影響を与えるだけでなく、体調不良にもつながるおそれがあります。自分に合う方法で無理せず対処しましょう。

アロパノールTOPへ