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歯ぎしりの原因と対策とは?
歯ぎしりの種類や身体への影響を紹介

朝起きたときに顎が疲れていたり、歯のすり減りが気になったりする場合、無意識に歯ぎしりをしている可能性があります。
歯ぎしりは歯そのものへのダメージになるだけでなく、頭痛や肩こりなど身体の不調につながることも珍しくありません。しかし、適切な対策を講じれば、身体への悪影響を減らすことが可能です。
この記事では、歯ぎしりの種類や原因、自分でできる対策法、歯科クリニックでの治療法を詳しく解説します。自分が歯ぎしりをしているのかをチェックする方法も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

大西良佳先生

監修:大西良佳先生
医師、医学博士

歯ぎしりとは?

歯ぎしりとは、上下の歯をこすり合わせたり、噛み合わせたり、食いしばったりする癖のことです。医学的には「ブラキシズム(口腔内悪習慣)」と呼ばれます。

これらが頻繁に繰り返されると、朝起きたときに、顎や顔の筋肉にだるさを感じることがあるため注意が必要です。

ちなみに、寝ているときに出る癖は「睡眠時ブラキシズム」、日中の起きている時間帯に意図せず噛みしめる癖は「覚醒時ブラキシズム」と呼ばれます。

主な種類

歯ぎしりにはいくつかの種類があります。代表的な3種類をご紹介します。

種類 特徴
グラインディング 一般的な歯ぎしりで、ギリギリと上下の歯を強くこすり合わせる症状。症状発生時のほとんどが睡眠時だが、起きている間にも緊張時に無意識に発生していることがある。
タッピング カチンカチンと上下の歯を軽く噛み合わせる症状。グラインディングと同じく、緊張しているときなどに無意識にしていることが多い。
クレンチング 歯を強い力で食いしばる症状。睡眠時や集中しているとき、ストレスを感じたときに無意識にしていることが多い。音がしないので、自分で気づかないこともよくある。

歯ぎしりの主な原因4選

歯ぎしりの原因は、特定されてはいません。しかし、一般的には次のようなものが歯ぎしりの原因ではないかと考えられています。

1.ストレスや疲労

歯ぎしりの原因は、ほとんどがストレスだといわれています。睡眠時、ストレスなどにより筋肉が緊張した状態になることが主な原因であるとの説が一般的です。そのため、ストレスの蓄積によって精神疲労が続くと、歯ぎしりが増えるとされています。

2.噛み合わせの悪さ

噛み合わせが悪いと、噛み合わせた際に被せ物や詰め物、また特定の歯のみが強く接触しやすくなり、上下の歯を適切に合わせることができません。上下の歯を正しく噛み合わせようとして、より顎の筋肉を使うことになり、その結果余計な力がこもって歯ぎしりが起こりやすくなるのです。

歯の詰め物治療をしたあと、それまでなかった歯ぎしりが発生することもあります。

3.日々の習慣

日々の習慣も、歯ぎしりを引き起こす原因の一つです。

例えば、スポーツなどで力を入れるときや仕事などで集中しているときなど、日中に噛みしめる、食いしばる癖があると、その筋肉の動きが記憶され、睡眠時も無意識に歯ぎしりが起こるといわれています。日中に発生する歯ぎしりは音が出ないため、気づかずに続けてしまうことが少なくありません。

また、うつ伏せや横向きで寝ると、歯や顎に力がかかり、歯ぎしりを悪化させることがあります。

4.飲酒・喫煙・カフェインの摂取

アルコールや喫煙、カフェインが原因で、歯ぎしりが発生する可能性もあります。これらの過剰摂取は覚醒作用をともない、睡眠の質に影響するため、歯ぎしりを悪化させる原因となるでしょう。

自分でできる!歯ぎしりの対策3選

ここからは、自分でできる歯ぎしりの対策を紹介します。

1.ストレスを軽減する

歯ぎしりの原因はほとんどがストレスであるといわれているため、ストレスを軽減することは非常に有効な対策といえます。

具体的には、以下のような対策をとるのがおすすめです。

<ストレスを軽減する方法>

  • 休息をとる:疲れを感じるときは時間が許す限りゆっくり休む
  • ストレスを避ける:ストレスになるものから物理的に離れる
  • 親しい人に気持ちを話す:今の気持ちを話して自分以外の意見を聞くと、視野が広がり気持ちが軽くなることがある
  • よく噛んで食べる:よく噛んで食べることで脳への血流が増加し、脳の活性化につながる
  • 好きなことや楽しいことをする:自然と親しむ、本を読むなど、自分の好きなことや楽しいことに時間をとることで、ストレス解消になる

また、食生活に関しては栄養バランスも大切です。主に、以下のような栄養素を多く含む食材をバランス良くとることをおすすめします。

  • ビタミンB群:疲労回復など
  • ビタミンC:抗酸化作用、抗ストレス作用など
  • マグネシウム:セロトニンの分泌を促進することで精神を安定させる
  • カルシウム:神経の興奮を落ち着かせる
  • ポリフェノール:抗酸化作用や自律神経を安定させる

2.身体をリラックスさせる

身体をリラックスさせると副交感神経が優位になり、歯ぎしりを緩和できる可能性があります。

具体的には、以下のような方法が効果的です。

  • 深呼吸:腹式呼吸で意識的にゆったり深く呼吸する
  • 入浴:熱いお湯に浸かるのは避け、ぬるめのお湯にゆっくり浸かる

また、次項で紹介する「質の良い睡眠」もリラックスする方法としておすすめです。

3.質の良い睡眠を確保する

歯ぎしりは、睡眠サイクルのなかでも、浅い睡眠のタイミングで起こりやすい癖です。そのため、質の良い睡眠をとって熟睡することで、歯ぎしりの防止につながります。

睡眠の質を高めるには、就寝前にスマートフォンやパソコンを見ない、カフェイン・アルコールの摂取を控えるなどを心がけるとよいでしょう。

また、就寝時に長時間同じ姿勢をとることは避けましょう。寝返りが打ちやすい姿勢をとるのがおすすめです。

病院で行なう歯ぎしりの治療法

先述のとおり、歯ぎしりが起こる原因はいまだに特定されておらず、根本的な治療法は確立されていません。

しかし、病院では歯ぎしりやそれにともなう口腔内、身体への悪影響を緩和する治療を受けることが可能です。

ナイトガードの装着

ナイトガードとは、睡眠時に使用するマウスピースのことです。ナイトガードを装着して眠ることで、歯ぎしりによる強い力から歯を守り、歯の摩耗や欠損の防止を見込めます。

さらに、歯ぎしりの不快な音を軽減する効果も期待できるでしょう。

噛み合わせの調整

噛み合わせを調整すると、バランスが取れた噛み合わせに整えることが可能です。

噛み合わせは、年齢や歯の健康状態などによって変化することがあります。そのため、以前は歯ぎしりがなかった人でも、それらが原因で噛み合わせが変わり、結果として歯ぎしりが始まるケースもあります。

このような場合、噛み合わせの調整によって改善が見込めるでしょう。

歯ぎしりが引き起こす身体への影響

歯ぎしりは口腔内だけでなく、身体全体に悪影響をおよぼす可能性があります。ここでは、具体的にどのような影響があるのかを解説します。

歯ぎしりによる強い力は、天然の歯だけでなく、被せ物や詰め物にもダメージを与えます。具体的には、歯ぎしりにより歯の摩耗や欠損が起こるほか、被せ物・詰め物が外れることがあります。症状が悪化すると、しみたり痛みを引き起こしたりする場合もあるため注意が必要です。

また、詰め物を用いた虫歯治療後の歯に、歯ぎしりによる強い圧力がかかると、歯と詰め物の間にすき間ができやすくなります。そのすき間に食べかすが入り、再び虫歯になってしまうことも珍しくありません。

このように、歯ぎしりは口腔内の環境を悪化させる大きな要因の一つといえます。

歯茎

歯ぎしりによって歯に強い力がかかり続けると、歯を支える組織にも悪影響をおよぼします。

例えば、歯の根元と骨を結びつける歯根膜には、歯が土台から抜けないよう固定する、咀嚼や適度な食いしばりなどによる負荷を緩和するといった役割があります。しかし、この部分に強い力がかかり続けると、炎症が起きて痛みが生じることがあります。

さらに、歯ぎしりによって、歯にヒビが入ったり欠けたりしやすくなることにも注意が必要です。歯にヒビや欠損が生じると細菌に感染しやすくなり、歯茎の腫れや歯周病につながるおそれがあります。

また、すでに虫歯があったり、歯周病に罹患していたりする場合は、歯ぎしりが原因で症状がさらに悪化する可能性もあるでしょう。

顎関節

歯ぎしりによって顎の関節に過度な負荷がかかると、顎関節症を発症するリスクがあります。顎関節症の主な症状として挙げられるのは、顎に痛みが生じる、口の開閉が困難になるなどです。

それほど強い歯ぎしりでなくても、歯ぎしりが長期間続くことで顎に大きな負担がかかるため注意が必要です。また、顎の変形が生じて顔が歪むケースも見られます。

その他の部位

歯ぎしりは口や顎だけでなく、全身にさまざまな影響をおよぼす可能性があります。

歯ぎしりによって過度な力がかかると、筋肉が緊張するため、頭痛や肩こり、腕のしびれ、倦怠感などを引き起こすことがあります。さらに、睡眠時無呼吸症候群との関連性も指摘されています。

このようなリスクを避けるためにも、歯ぎしりの症状に気づいたら、早めに専門家に相談しましょう。

歯ぎしりのセルフチェック

歯ぎしりをしていないか気になったら、セルフチェックをしてみましょう。

主なチェック項目は以下のとおりです。

<歯ぎしりのチェック項目>

  • 朝起きたときに、顎に痛みがある
  • 朝起きたときに、奥歯の痛みや疲れを感じる
  • 歯がすり減ったり、欠けたり、割れたりしている
  • 歯がしみる
  • 詰め物が外れやすい
  • 頬の内側に噛み跡がつきやすい
  • 頭痛・肩こりがなかなか治らない
  • 耳付近に痛みがある
  • 日中、無意識に歯を噛みしめている
  • 上顎の真ん中や下顎の歯の裏側などに骨が硬く出っ張った部分(骨隆起)がある

特に周囲からの指摘が年に複数回ある場合は、歯ぎしりが癖になってしまっている可能性が考えられます。

歯ぎしりは自分ではなかなか気づきにくいものです。加えて、上記の症状を自覚していながらも、その原因が歯ぎしりであるとは疑いづらいこともあるでしょう。

これらのチェック項目で少しでも気になることがあれば、歯以外の部位への影響を防ぐためにも、専門家へ相談することをおすすめします。

まとめ

歯ぎしりは上下の歯をカチカチと噛み合わせたり、こすり合わせたり、食いしばったりする癖を指します。

歯ぎしりの主な原因は、ストレスや疲労、噛み合わせの悪さ、日々の習慣、飲酒・喫煙・カフェイン摂取などです。歯ぎしりの対策として、原因と考えられるこれらのものをできるだけ取り除くようにしましょう。

また、こうした対策で思うような効果が得られない場合は、病院で治療を始めるのもおすすめです。例えば、睡眠時にナイトガードを装着すれば、強い力から上下の歯を守ることができます。また、歯ぎしりの発生原因が噛み合わせにある場合は、噛み合わせを調整することで改善されることもあります。

個々の状況に合わせて、適切な対策を検討してみてください。

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