テキスト:project development 製品開発プロジェクト

1958年の発売以来、「効きめ」の良さが評価され多くのお客様に支持をいただいている「ジキニン」シリーズ。「ジキニン」ブランドは、市場やお客様のニーズの変化を敏感にキャッチし、技術革新をしながら常に進化を続け、かぜ薬の分野で確かな地位を築いています。その開発はどのように行われているのか。現在進行中の新製品の開発に参加している4人のメンバーが語り合いました。

  • マーケティング

    M.T.

    画像:M.T.のバストアップ写真
  • OTC開発

    K.N.

    画像:K.N.のバストアップ写真
  • 製造

    T.S

    画像:T.Sのバストアップ写真
  • 研究

    Y.K.

    画像:Y.K.のバストアップ写真

各メンバーが担った役割
~「ジキニン」ブランドの価値向上のために~

M.T.

私は「ジキニン」ブランドの価値向上を担っています。60年以上にわたり愛されてきたブランドですので、「ジキニン」らしさは保ちつつ、市場ニーズの変化に合わせてリニューアルや新製品を考えています。「このニーズが高まっている」「このような見えていないニーズがある」という考えに基づいて、OTC開発部門に提案します。さらに、より多くの方に「ジキニン」の魅力を伝えるコミュニケーション戦略を考え、広告・販促部門と生活者への訴求方法を検討します。

K.N.

私たちはM.T.さんたちマーケティング部門から新製品の要望を受けた後、製品化し発売に導くまでのコントロールが重要な役割になります。ただ、市場調査を独自で行い、こちらからマーケティング部門に商品企画を提案することもあるので、企画立案の段階から一緒に走り始めることもあります。

Y.K.

研究部門の仕事にも色々あるのですが、製品の開発では、まずOTC開発部門から新製品に配合する有効成分の種類や量などが提案されます。それを製品として形にするための添加剤の検討や、製造に用いる機器の選定、製造条件の検討などが研究部門の主な役割です。

K.N.

添加剤は、色やにおい、使用期限までの有効成分の安定性など、製品の品質に関わる重要なところを支えていますし、工場で安定的に生産するためにも欠かせませんよね。

Y.K.

そうですね。しかしこれが、わずかな配合の違いでまったく異なる現象が起こるので、難しくもあり研究者魂を刺激するところでもあります。そして、研究開発センターでの試作より100倍以上の規模になる栃木工場での実生産の検討・試験では、T.S.さんたち製造部門の力を借りながら進めていきます。

T.S

製造部門では、「このような製造条件に対応できるか」という相談を受け、それを検討しながら製造方法を固めていきます。毎日製造に携わっている私たちの視点からサポートすることで、より良い工程を導き出します。そして、実際の製造ラインを使った試作へと進み、調整を経て新製品が完成します。

写真:スーツ姿の2人がテーブルに肘をつき、喋っている様子

リレーションシップ
~互いの力を合わせてハードルを越える~

K.N.

私がこの新製品の開発プロジェクトの担当になったのは入社1年目の秋頃で、その頃には有効成分の処方はほぼ固まり、安定性などの検討もかなり進んだ段階からの途中参加でした。実際のプロジェクトのスタートはもっと前でしたよね。

M.T.

私がY.K.さんたち研究部門に、新規開発品の概要を伝えたのは5年ほど前でした。

Y.K.

そうですね。それくらいから準備を始めましたよね。今回の新製品にはやや特殊な成分があって、他の成分と組み合わせた際の安定性を保つのが難しかったんですよ。コストをかければ解決しますが、その分だけ高額な製品になってしまいます。コスト増を回避するための検討と研究にかなり時間を要しました。

T.S

その課題は製造実機での試作にも影響して、製造条件を詰めるのにも苦心しました。Y.K.さんが試作の現場にも立ち会ってくれて、その場で相談しながら調整していきました。研究担当者と改善策について議論していると、大学の研究室時代を思い出して楽しかったですね。

Y.K.

簡単ではないからこそ楽しい、というのはありますよね。ただ、どうしてもうまくいかなくて、一度はラボに持ち帰ったこともありました。

T.S

かなり製造が難しい製品でしたね。ただ、課題解決に向けては、Y.K.さんたちのおかげで想定よりスムーズだったと思います。K.N.さんには心配をかけてしまい、すみませんでした。

K.N.

いえいえ、私は全く心配していませんでした(笑)。私たち開発担当者は、承認申請を含めた製品開発スケジュールを管理しながら、研究や製造など各部署のスペシャリストに最大限の力を発揮していただけるように調整するのが重要な仕事です。いつも各現場での最高のパフォーマンスを信じています。

M.T.

私の立場では、K.N.さん含めてみんなを信じるだけです(笑)。OTC開発部門との定期的なミーティングで進捗状況は把握していて、全体スケジュールのポイントになるところで遅れがないか確認しています。万が一の時の対応策を考えておくのが重要な仕事になりますね。

写真:4人テーブルの上で、笑顔で話をしている様子。

創薬理念に通じる開発姿勢
~他にないものを生み出したい~

Y.K.

今回のプロジェクトでは、新たな有効成分の配合にはかなり手こずったものの、こうした前例にとらわれない挑戦は全薬グループならではだと感じました。

M.T.

「模倣せず」という言葉が会社の創薬理念にありますし、「ジキニン」ブランドが常にお客様に愛される価値を持ったものにしなければという想いを持っています。そのためには、どうしてもハードルの高い挑戦が必要になります。

Y.K.

全薬グループで研究の仕事をしてきて面白いと感じるところに、開発の過程で何か問題が起きた際、原因究明にも取り組めることがあります。その結果は、当面の開発に活きることもあるし、別の開発で活きることもあります。

M.T.

そうした研究者の探究心を活かすことが、創薬理念の実現にもつながっていると感じますよね。あと、若手の柔軟な発想を活かすことで、これまでにない製品や価値を生み出そうと、入社2年目のK.N.さんを新製品開発の担当者とするところなども全薬グループらしいところではないでしょうか。

K.N.

そうですね。実際、OTC開発部門には若手が多いですし、マーケティング部門への新製品のアイデア出しも積極的に行っています。色々な部署と関わるためには経験や知識が必要で、最初は不安もありましたが、先輩方のフォローのおかげで、多少の失敗は経験しつつも、実務を通じてより多くのことが学べる環境だと感じています。

T.S

私は最近、製造ラインの調製工程の責任者になって、後輩の育成にも注力しています。思えば自分も先輩に丁寧に指導してもらったし、後輩を育てることは全薬グループの風土として根づいているのでしょうね。

写真:テーブルの肘をつき、話を聞いている様子。

それぞれの今後の目標
~今が充実しているから、未来への希望も生まれる~

M.T.

K.N.さんは今回、新製品の開発プロジェクトに初めて参加して、どんなことを得たと感じていますか。

K.N.

他部署の方々とスムーズな連携を取るのに必要な、各部署の業務理解はかなり進んだと思います。あと、「ジキニン」ブランドを誰よりも愛すること、という新たな目標を得ることができました。関係する皆さんの「ジキニン」ブランドに対する愛情の深さを知り、刺激を受けました。開発担当者としては、ただ愛するのではなく、生活者としてももっともっと好きにならなければと思っています。

M.T.

その考えはとても大事ですね。生活者の視点で好きにならないと、お客様に喜ばれる製品にならないですからね。

Y.K.

研究担当者としてはすでに次の製品も視野に入れています。さらにハードルの高い成分の組み合わせになるでしょうから、基礎検討を早めに進めておきたいです。

T.S

製造部門は新製品が発売になった後も、製品の安全や品質を守り、安定的に供給する責務が続きます。プロジェクトに関わった一人としては、今回聞いた、皆さんの「ジキニン」ブランドに対する想いを守るためにも、万全な製造をしていきます。また個人的には、造粒工程の責任者を担えるように技術や経験を磨きたいと考えています。造粒は、今責任者を務めている調製工程の1つ前の中間製品を作る工程で、製造ラインの中でも核となるものです。

Y.K.

水分量や温度管理など、微妙な調整が求められる工程ですよね。造粒に問題があれば、最終製品に近づく造粒調製以降の工程に大きな影響が出ますからね。

T.S

そうなんです。だからこそ造粒工程の責任者になれば、製造担当者としての自信につながると考えています。

M.T.

皆さんそれぞれに次の目標を持っているのですね。私自身の目標は、今後も「ジキニン」ブランドを輝かせ続けることです。生活者に選んでいただくためにどうしたらよいかを常に考えています。お客様からの「効きめ」への評価が高く、リピート率が高いのは「ジキニン」ブランドの大きな強みです。ただ、その評価に満足していては成長はないと考えています。市場のニーズやまだ見えていないニーズに対して「ジキニン」ブランドの価値をいかに伝えていくか。さっきK.N.さんが話したように「生活者目線」をより強く意識することも大切だと思っています。力を合わせて、お客様に信頼される製品をつくっていきましょう!!

画像:ビルの窓際、4人並んで笑顔でいる様子。
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