季節の変わり目やちょっと油断しただけで、周りは平気なのに自分だけのどが痛くなる、イガイガする。そのような経験から「自分はのどが弱いのかもしれない」と感じている人もいるでしょう。

のどが痛くなりやすいのは、体質だけではなく、体の生理機能や生活環境にも理由がある場合がめずらしくありません。

一方、日常生活のちょっとした見直しが、のどのトラブル予防につながることもあります。

この記事では、のどが痛くなりやすい人の特徴、のどの防御機能、見直したい生活習慣、取り組みやすい予防法、痛みが出たときのセルフケアなどを解説します。

のどが弱い・痛くなりやすいとは、のどの防御機能が働きにくくなっている状態のこと

「のどが弱い」とは、のどの粘膜や扁桃の防御機能が下がり、わずかな刺激でも痛みや腫れが生じやすい状態をいうことが多いです。

のどには、吸い込んだ異物を粘液で絡め取り、繊毛の働きで排出させる防御機能が備わっています。

しかし、空気が乾燥している・口呼吸をしている・疲労により免疫力が下がっているなどの悪条件が重なると、粘膜の潤いや防御力が下がりがちです。のどが弱い人は刺激に敏感なので、同じ環境にいてもほかの人よりのどの症状が出やすくなります。

つまり、のどの弱さには、体質に加えて毎日の生活も影響しています。だからこそ、習慣を見直すことで変化が期待できるのです。

「これって、のどが弱い体質?」と思ったらチェックしたい特徴

のどが痛くなりやすいかどうかは、いくつかの特徴から判断できます。

まずは、のどが弱い人に頻繁にみられる特徴と、繰り返す場合に注意したいサインをみていきましょう。

のどが痛くなりやすい人に頻繁にみられる特徴

のどが痛くなりやすい人は、空気の乾燥でのどの粘膜が傷付いていることが多いです。特に冬場や空調の効いた部屋では、のどの不調が悪化しがちです。

疲れやストレス、睡眠不足が続く場合も、のどの防御機能は下がりやすくなります。

さらに、ハウスダストや花粉などのアレルギーがある方は、のどの不快感や腫れが生じやすい傾向があります。

そのほか、頻繁にのどの感染症にかかっていて粘膜が弱くなっている、冷たいもの・辛いものでのどに違和感を覚えやすいことなども、一般的にみられる症状です。

何度も繰り返すなら注意したいサイン

のどの腫れや痛みを繰り返す場合は、慢性扁桃炎の可能性が否定できません。

慢性扁桃炎は扁桃の炎症が3ヵ月以上続く病気で、年に数回、のどの痛みや発熱などの激しい症状が出るのが特徴です。

溶連菌による扁桃炎は、急性糸球体腎炎やリウマチ熱などの重篤な合併症を引き起こすこともあります。繰り返す場合は「体質だから」と放置せず、一度耳鼻咽喉科を受診しましょう。

風邪をひくと、なぜのどに症状が出るのか

風邪をひいたとき、いち早く症状を感じやすいのがのどです。

以下では、ウイルスがのどで炎症を起こす仕組みと、痛みが生じる背景を解説します。

風邪のウイルスは、まずのどや鼻で炎症を起こす

風邪の原因となるウイルスは、おもに鼻や口から侵入します。

鼻やのどの粘膜に付着したウイルスが増殖すると炎症が起こり、のどの痛みや違和感、鼻水などの症状が現れてきます。

熱が出る場合もありますが、鼻やのどでの反応が先行するため、風邪のひきはじめにはのどや鼻の症状が出やすいのです。

なお、ウイルスの種類により症状の現れ方は多少異なりますが、いずれも「のどから上」の部位で炎症が起こりやすい点は共通しています。

異物を追い出そうとする防御反応が、痛みとして感じられる

体が異物を追い出そうとする防御反応により炎症が起こると、ウイルスなどを排除するために免疫細胞が集まり、腫れが生じます。

さらに、免疫細胞が放出する炎症物質が周囲の神経を刺激することから、違和感や痛みが生じやすくなります。

特に、冬など空気が乾燥する時期は、粘液や繊毛の働きが下がってウイルスや細菌が気道に付着しやすくなるため、注意が必要です。

乾燥した環境下で運動をする人、唾の分泌量が減っている高齢者、口呼吸の傾向がある人などはのどが乾燥しやすいので、痛みが出やすい状態にあるといえます。

のどの強さに個人差が出るのにはこんな理由もある

のどの不調が出やすいかどうかは、体の状態によって変わることもあります。

後鼻漏や逆流性食道炎など、のどの不調と関係が深い病気を解説します。

後鼻漏・慢性上咽頭炎によるもの

アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎があると、鼻の粘液がのどに垂れ込む「後鼻漏」が起こり、のどの違和感や炎症をまねくことがあります。

上咽頭(鼻の奥にあるのどとつながっている部分)の炎症が慢性化した「慢性上咽頭炎」では、のどの痛みや違和感がたびたび生じることもあるため、「のどが弱い」と感じやすくなります。

逆流性食道炎によるもの

胃の内容物が食道を逆流する逆流性食道炎では、胃酸や消化酵素などがのどまで上がってくることで粘膜が刺激され、違和感や炎症をまねくことがあります。

のどの症状が強い場合は「咽喉頭逆流症」と呼ばれ、のどの不調が続く要因として知られています。

胸やけや胃の内容物が逆流する感覚、のどの奥にすっぱいものがこみ上げてくる不快感をともなうケースもあり、症状が続く場合は消化器内科を受診するとよいでしょう。

食べ過ぎや早食いをしない、脂っこいものを控える、食後すぐに横にならないなどの生活面の工夫が、症状の改善につながることもあります。

のどが弱い体質を作っているかもしれない、見落としがちな生活習慣

生活習慣の中に、のどを痛めやすい原因が隠れていることもあります。

見落としがちな3つの習慣をチェックしていきましょう。

口呼吸が習慣になっていないか

唇が乾燥しやすい、起床時に口の中が乾いている、いびきをかく、などに心当たりがある人は、口呼吸になっている可能性があります。

鼻づまりやアレルギー性鼻炎が原因で、口呼吸が習慣化している人もいます。

口呼吸になると外気が直接気道に入るので、ウイルスなどが侵入しやすくなるほか、冷たく乾燥した空気でのどが刺激されやすくなるため、感染のリスクが高まる可能性があります。

加湿・水分補給が足りているか

のどが乾燥すると、異物を排除する防御機能がうまく働きません。
こまめな水分補給と適度な湿度で、乾燥を予防しましょう。空気が乾燥する季節は、加湿器の活用もおすすめです。

ただし、加湿器には水道水を使用しましょう。
塩素を含まないミネラルウォーターを使うと、カビや雑菌が繁殖するおそれがあります。

喫煙・飲酒・のどの酷使

タバコの煙はのどの粘膜を直接刺激するので、炎症や痛みの原因になります。

実際、喫煙習慣のある人では、慢性的なのどの痛みや咳を訴えるケースが少なからずみられます。受動喫煙でも同様の影響があるため、家庭内や職場に喫煙者がいる場合は要注意です。

飲酒も、のどの状態に悪影響を与えます。
アルコールの利尿作用で体の水分が失われると、のどの粘膜の乾燥をまねきやすくなります。アルコールが粘膜を直接刺激する場合もあるので、のどの調子が気になるときは量を控えめにするのが望ましいでしょう。

大声を出したり長時間歌ったりするのも、のどに負担をかける習慣といえます。声帯への刺激が続くと、声帯炎や喉頭炎を起こすこともあります。

のどが痛くなりやすい体質でも、今日から始められる予防習慣

のどが痛くなりやすい体質でも、日々の工夫でトラブルを軽減することは可能です。
取り組みやすい具体的な予防習慣を紹介します。

加湿と水分補給の習慣化

室内の湿度を適度に保ち、こまめな水分補給でのどの潤いを保ちましょう。

外出時のマスク着用も、口やのどの湿った空気が外に逃げるのを防ぎ、乾燥や異物からのどを守るのに役立ちます。

ただし、長時間の着用は息苦しさから口呼吸になりやすいため、状況に応じて適度に外すことも大切です。

うがいの習慣と口呼吸対策

帰宅時や人混みに出かけたあとは、うがいを習慣にしましょう。
うがいは、水やお茶でも効果が期待できます。

うがいをするときは、まず、水やうがい薬を口に含み、頬の筋肉を動かしながらクチュクチュと口の中を洗いましょう。
次に上を向き、「あー」「おー」と声を出しながらのどの奥を洗い、うがい液が温まってきたら吐き出します。1回では不十分なので、数回繰り返しましょう。

なお、普段から無意識に口が開いてしまう場合は、耳鼻咽喉科の受診をおすすめします。

免疫力を落とさない生活リズム

栄養バランスに配慮した食事、適度な運動、十分な睡眠など、規則正しい生活が免疫力を維持する土台になります。
疲労やストレスをためすぎない工夫も、のどの防御機能を保つのに役立ちます。

生活習慣を整えることで、のどトラブルが起きにくい状態に近づけるでしょう。

それでものどの痛みが出てしまったときのセルフケア

予防を心がけていても、のどの痛みが出てしまうことはあります。
つらいときに無理をしないためのセルフケアをまとめます。

のどのつらさを和らげる基本のセルフケア

水分補給や加湿、うがいなどのケアを続けることが、痛みの緩和につながります。

喫煙を控える、辛い食べ物や熱すぎる・冷たすぎる飲食物など刺激物を避ける、大声を出さない、マスクや加湿器で乾燥を予防するなど、生活面でできる工夫をすることも大切です。

市販薬を選ぶときに知っておきたい視点

のどの痛みに使われる市販薬には、飲み薬・トローチ・のどスプレー・うがい薬など、さまざまなタイプがあります。
症状や生活スタイルに合わせて、使いやすいもの・続けやすいものを選ぶとよいでしょう。

選ぶ際は、パッケージに記載されている成分の働きを把握しておくことが大切です。
痛みを緩和する成分(アセトアミノフェンやイブプロフェンなど)、炎症を抑える成分(トラネキサム酸など)、殺菌成分(ポビドンヨードなど)といった中から、症状に合うものを選びましょう。

仕事や自動車の運転を予定している日は、眠気を起こしやすい成分(抗ヒスタミン成分)が含まれていないかにも注意しなければなりません。

ただし、のどの症状が強い場合や長引いている場合は、自己判断で市販薬を使い続けず、医療機関を受診しましょう。

のどの不調が続くときは、体質のせいと油断せず受診を

のどの不調の多くは体質や生活習慣によるものですが、医療機関の受診が必要なケースもあります。
受診の目安と、のどの弱さと勘違いしやすい病気を押さえておきましょう。

早めに医療機関を受診したいサイン

のどの痛みで食事や水分が摂れない、関節痛や頭痛がある、高熱が続くなどの症状がある場合は、医療機関の受診を検討しましょう。

病気や治療で免疫力が下がっている場合はのどの痛みが起こりやすいため、我慢せず医療機関を受診することが望ましいです。
唾が飲み込めないほどの痛みがある、呼吸が苦しくヒューヒューと音がする、くぐもったような声になる、口を閉じにくいなどの症状がある場合は、早急な受診が必要です。

特に呼吸が苦しいときは、ためらわずに救急要請をしましょう。

のどが弱いことと間違えやすい別の病気の可能性

A群溶連菌による咽頭炎は、38℃以上の高熱に強いのどの腫れ・痛みをともないますが、咳や鼻水があまり出ないのが特徴です。

そのほか、細菌性の扁桃炎や扁桃周囲膿瘍など、抗生剤の投与や重症化した場合に医師の処置が必要になる病気もあります。

のどの痛み以外の症状がある場合や痛みが強い場合・悪化する場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

のどが弱い人のよくある質問3選

続いて、のどが弱い人に関するよくある疑問にお答えします。

Q.のどが弱い体質は改善できますか?

A.生まれつきの体質が関係することもありますが、それだけで決まるわけではありません。

乾燥対策や口呼吸の改善、十分な睡眠や栄養など生活習慣を見直すことで、のどの防御機能を保ちやすくなります。

ただし、症状を繰り返す場合は、背景に病気が隠れている場合もあるので、耳鼻咽喉科を受診するとよいでしょう。

Q.のどを強くする方法はありますか?

A.のど自体を「鍛える」というより、防御機能が働きやすい環境を整えることが重要です。

水分補給や加湿、鼻呼吸を意識することが基本になります。栄養バランスのよい食事や十分な睡眠、適度な運動など、免疫力を保つ生活習慣も役立ちます。

Q.マスクをすると、のどの乾燥予防になりますか?

A.マスクをすると、呼気に含まれる水分がマスク内にとどまりやすくなるため、のどの乾燥対策につながります。

冬場や空気が乾燥している場所、人混みでは、ウイルスなどの侵入を妨げる効果も期待できます。

ただし、長時間使用すると息苦しさから口呼吸になりがちです。十分な水分補給を心がけ、加湿も併せて行うようにしましょう。

まとめ:のどが弱いのは体質だけでなく、日々の習慣も大切

のどが痛くなりやすいのは、粘膜や扁桃の防御機能が、空気が乾燥していたり免疫力が下がっていたりすることで働きにくくなっているサインといえます。

口呼吸や加湿不足、喫煙・飲酒、疲労やストレスなど、生活習慣が関係している場合もあるでしょう。

水分補給・加湿・うがい・規則正しい生活など日々の積み重ねが、のどをトラブルから守る体づくりにつながります。痛みがつらいときは、飲み薬やトローチ、スプレーなど自分に合う市販薬を選ぶことも大切です。

症状を何度も繰り返す、いつまでも治らないといった場合は、体質だけが原因ではない可能性もあるので、早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。

先生

【この記事の監修者】

<名前>
菊池 大和(きくち やまと)

<資格>
日本慢性期医療協会総合診療認定医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医/身体障害者福祉法指定医(呼吸器)/厚生労働省初期臨床研修指導医/神奈川県難病指定医 など

<プロフィール>
医療法人ONEきくち総合診療クリニック理事長・院長。地域密着の総合診療かかりつけ医として、内科から整形外科、アレルギー科や心療内科など、ほぼすべての診療科目を扱っている。日本の医療体制や課題についての書籍出版もしており、活動が評価され2024年11月にTIMEアジア版に掲載される。

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