「ごはんを飲み込むたびにしみるように痛い」「唾を飲み込むのもつらい」「声を出すと少しかすれてしまう」

こうした症状に、思わず顔をしかめてしまうこともあるのではないでしょうか。のどの痛みは日常で頻繁にみられる不調の一つですが、多くの場合、適切なセルフケアや市販薬によって症状の緩和が期待できます。しかし、医療機関への受診が必要な場合もあります。

この記事では、のどが痛くなる原因を整理したうえで、今日から試せるセルフケアと市販薬の選び方、さらに受診の目安や予防のための生活習慣まで、順を追って説明します。

のどが痛くなるおもな原因

のどの痛みが生じる要因は、おもに「感染」と「乾燥・生活習慣」の2つです。

ウイルス・細菌感染

代表例は、風邪やインフルエンザにかかったときに生じるのどの痛みです。ウイルスや細菌がのどの粘膜に付着すると炎症が起こり、まわりの神経が刺激されて「痛い」と感じやすくなります。

のどの痛みをともなう細菌感染の代表例が、溶連菌感染症です。典型的な症状として、咳や鼻水などの症状がなく38℃以上の熱が続く・のどの奥に白っぽい苔のようなものが見える・唾を飲み込むだけで強い痛みがでるといった症状が挙げられます。溶連菌感染症は子どもに多い病気ですが、大人でも発症することがあります。

乾燥・生活習慣

空気が乾燥していたり口呼吸のクセがあったりすると、のどの粘膜が乾燥し、粘膜のバリア機能が低下します。その結果、外部からの刺激や病原体の影響を受けやすくなり、のどの痛みを感じやすくなります。

また、のどの粘膜や声帯を直接刺激するタバコやお酒も痛みの原因です。長時間おしゃべりをする・大きな声を出す・カラオケで何時間も歌い続けるなどの行為も声帯に負担をかけるため、のどの炎症をまねきやすくなります。

仕事などで声を使う機会が多い方は、のどを酷使しないよう意識するとよいでしょう。

のどの痛みを和らげる4つのセルフケア

市販薬に頼る前に、今日から試せるセルフケアもあります。ここでは、日常で取り入れやすい4つの方法を紹介します。

こまめな水分補給で粘膜を潤す

のどの粘膜が乾燥すると、ウイルスや細菌が付着しやすくなります。渇きを感じてから飲むのではなく、少量ずつこまめに水分を摂ることを心がけましょう。

冷たい飲み物やアルコール類、炭酸飲料、カフェインを多く含む飲料は粘膜に刺激を与えることがあります。麦茶や白湯、常温または少し温かい飲み物のほうが負担が少ないので、おすすめです。飲み込むときに痛みがある場合は、無理のない範囲で少しずつ摂るようにしましょう。

マスクでのどを乾燥や刺激から守る

のどの粘膜が乾燥するとバリア機能が低下し、痛みを感じやすくなります。マスクの内側は呼吸に含まれる水分をとどめてくれるため、乾いた外気を直接吸い込むよりものどの湿度を保ちやすくなります。

特に就寝中は、無意識のうちに口が開いて乾燥しがちです。寝るときにマスクを着けておくとのどが乾燥しにくくなり、痛みの軽減につながります。

のどに優しい食べ物・飲み物を選ぶ

はちみつには抗菌・抗炎症作用があるとされ、のどの炎症を和らげる効果が期待できます。ホットドリンクに混ぜて飲むのもおすすめです。ただし、乳児ボツリヌス症の危険があるため、1歳未満の乳児には与えないようにしましょう。

おかゆや煮込みうどんなど軟らかい食事は、飲み込むときの負担が少なく、体力の回復にも役立ちます。反対に、辛い物や硬い食べ物などはのどへの刺激になるので、症状が落ち着くまでは控えましょう。

うがいでのどを清潔に保つ

日常の感染予防なら、水道水でうがいするだけでも十分な効果が期待できます。のどの炎症が強いときは、殺菌成分や抗炎症成分を含むうがい薬も選択肢になります。

のどの痛みがつらいときは、塩うがいをするのもおすすめです。うがいに使う塩水は、コップ一杯のぬるま湯にひとつまみの塩を溶かす程度の濃度に調整しましょう。塩水うがいにより一時的に痛みの緩和が期待できます。

のどの痛みに効果が期待できる市販薬の選び方

のどの痛みに使用する市販薬は、「症状の範囲」「成分」「剤形」を意識して選ぶとよいでしょう。自分の状況に合ったものを選ぶことで、より的確にアプローチできます。

症状の範囲で選ぶ

のどの痛みや腫れだけがつらいときは、のどへ直接作用するスプレーなどの外用薬や、抗炎症成分・漢方成分を配合した内服薬が向いています。発熱や咳、鼻水などの症状も同時に出ている場合は、のど以外の症状にも適応がある総合風邪薬が便利です。

ただし、複数の市販薬を同時に使うと成分が重複する場合があるので、注意が必要です。例えば、のど用の飲み薬やトローチを総合風邪薬と併用すると、抗炎症成分を二重に摂ってしまうケースがあります。

成分で選ぶ

のどの痛みに使われるおもな成分の例を紹介します。

成分    作用    特徴    
アセトアミノフェン中枢神経に作用し、解熱・鎮痛をもたらす小さな子どもから高齢者まで、幅広い年代で使われている解熱鎮痛成分
イブプロフェン痛みや熱のもとになるプロスタグランジンの生成を抑え、炎症・痛み・発熱を和らげるNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)に分類される。抗炎症・鎮痛・解熱の3つの作用を1つの成分でカバーできる
トラネキサム酸プラスミンの働きを抑え、のどの痛み・腫れの原因となる炎症を鎮める解熱作用はなく、のどの腫れ・痛みの緩和を目的として配合される

自分の症状に合う成分が入っているかどうかは、パッケージの表示で確認しましょう。より効果的にアプローチしたい場合は、鎮痛の仕組みが異なる成分(例:アセトアミノフェン+イブプロフェン)を組み合わせた製品を選ぶ方法もあります。

なお、イブプロフェンを含むNSAIDsの一部で、インフルエンザ脳症との関連性が疑われています。そのため、インフルエンザにかかった場合、NSAIDsの使用には慎重な判断が必要です。インフルエンザが疑われる場合には、服用前に医療機関を受診しましょう。

剤形で選ぶ

錠剤・カプセル剤は、体内に吸収されたあと成分が全身に作用するタイプの薬です。顆粒・細粒・内服液も作用の仕方は同じですが、飲み込みづらいときでものどに負担がかかりにくいため、服用しやすい剤形といえます。トローチやスプレーは、有効成分を患部へ直接届けられる点が特徴です。

錠剤や粉薬が苦手な場合は、薬を包んで飲み込みやすくする「服薬補助ゼリー」を活用する方法もあります。

そののどの痛み、市販薬で大丈夫?受診が必要なサイン

「このまま市販薬を使い続けていいのか、それとも病院に行くほうがいいのか」。のどの痛みが長引くと、そのような迷いが出てくることもあるのではないでしょうか。

風邪によるのどの痛みは、セルフケアと市販薬で症状が和らぐケースもありますが、なかには早めの受診が必要な場合もあります。次の3つのポイントを、判断の目安として押さえておきましょう。

3日以上市販薬を使っても症状が改善しないとき

風邪の症状は、発症から3日目前後をピークとして、7〜10日ほどで緩和していくことが多いとされています。

「熱は下がったのに、のどの痛みだけがずっと引かない」「市販薬を飲んでも一向に良くならない」というように、3日以上たっても改善の兆しがみえない場合は、細菌感染や風邪以外の病気が原因になっている可能性があります。市販薬の使用を中止し、早めに医療機関を受診しましょう。

また、声のかすれ(声がれ)やのどのかゆみなどの違和感が1週間以上続く場合は、アレルギーや逆流性食道炎、声帯の使い過ぎによる炎症などが関係していることもあるので、早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。

高熱・激しいのどの痛みが続くとき

咳や鼻水は出ていないのに38℃以上の発熱が続く、扁桃が大きく腫れて白苔(はくたい:白っぽい膜のようなもの)がみられる、といった症状がある場合は、細菌感染が疑われます。

「唾を飲み込むのもつらいほど痛い」など強い症状があるときは、無理をせず早めに医療機関を受診しましょう。抗菌薬による治療が必要になる場合があります。

急に強い息苦しさや、のどの奥の腫れを感じるとき

まれに、のどの奥(喉頭蓋:こうとうがい)が急激に腫れて気道が狭くなる「急性喉頭蓋炎」や、扁桃の周りに膿がたまる「扁桃周囲膿瘍」といった病気が隠れていることがあります。

「唾も飲み込めないほど強く痛む」「呼吸のたびにゼーゼー、ヒューヒューと音がする」「声がこもったように聞こえる」などの症状が数時間~半日ほどで急激に進行する場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。

のどの痛みを繰り返さないための3つの予防習慣

日頃の習慣を見直すと、のどの痛みが起きにくくなることもあります。頻繁にのどが痛くなる方は、次の3つを意識してみましょう。

手洗い・うがいを徹底する

手洗いとうがいは、のどの痛みの予防に効果的です。手洗いは、石けんをつけてから15秒以上こすり洗いするのが目安です。特に指先や指の間、爪の先は洗い残しやすいので、意識して丁寧に洗いましょう。

外出後のうがいは、のどに付着したウイルスやほこりを洗い流すのに役立ちます。まず口の中をクチュクチュとゆすいでから、のどの奥を開いてガラガラうがいをするのが基本の手順です。

うがい薬を使う場合は、適切な希釈濃度と回数を守りましょう。濃いまま使用すると、アレルギーやショック症状が出る可能性があるので、水で薄めて使うことが大切です。反対に薄めすぎると殺菌効果が十分に発揮されないこともあるため、製品の用法・用量を守りましょう。

室内の乾燥を防ぐ

空気が乾燥すると、のどの粘膜の防御機能が下がり、ウイルスや細菌に感染しやすい状態になります。秋冬やエアコン使用時は加湿器を活用しましょう。加湿器がない場合は、濡れタオルや洗濯物を室内に干す、浴室のドアを開けたままにする、などの方法でも代用できます。

就寝中は特にのどが乾燥しやすいので、寝室の加湿やマスクの着用も取り入れてみてください。

なお、加湿器に使用する水は、水道水を使いましょう。ミネラルウォーターは塩素を含まないため、使用すると雑菌が繁殖しやすくなります。

十分な睡眠と栄養で免疫力を維持する

睡眠不足や栄養の偏りは免疫力を下げ、風邪などの感染症にかかりやすい状態をまねきます。疲れを感じたら無理をせず、早めに休むことも大切です。毎日同じ時間に寝起きする、寝る前のスマートフォンの使用を控える、休日も生活リズムを大きく崩さないようにする、などの工夫が質の良い睡眠につながります。

食事の面では、たんぱく質やビタミンA・Cを含む食品(肉・魚・卵・緑黄色野菜など)を意識して取り入れると、のどや鼻の粘膜の健康維持に役立つとされています。

ウォーキングやストレッチなど、軽い運動を習慣にすることも、体の回復力を保つうえで効果的です。

のどの痛みに関するよくある質問3選

のどの痛みに関するよくある質問に回答します。

Q.のどの痛みと熱がある場合、何科を受診すればいいですか?

A.内科・耳鼻咽喉科のどちらでも対応できます。のどの腫れや痛みがおもな症状で、のどの状態を直接確認してもらいたいときは耳鼻咽喉科が向いています。だるさや頭痛など、のど以外の症状も併せて気になる場合は、内科を受診するとよいでしょう。

Q.子どもののどの痛みに市販薬を使ってもいいですか?

A.市販薬の多くには年齢制限があります。子どもののどの痛みには、対象年齢に応じた小児向けの製品を選ぶか、小児科・耳鼻咽喉科を受診しましょう。ただし、2歳未満の乳幼児は受診・診察を優先し、市販薬の使用はやむを得ない場合に限ってください。

Q.のどの痛みに市販薬は何日まで使えますか?

A.市販の風邪薬は、症状を緩和するために短期間使用することを前提としており、長期間の使用は想定されていません。つらい症状が続く場合は、自己判断で服用を続けず、各製品の用法・用量や注意書きにしたがい、医療機関を受診、または薬剤師・登録販売者に相談しましょう。

まとめ:のどの痛みはセルフケアと市販薬で早めの対処を

のどの痛みの多くは、ウイルス・細菌感染または乾燥・生活習慣がきっかけとなって起こります。

通常は、適切なセルフケアや市販薬で対処できますが、高熱や強い痛みが続く、息苦しさが出るなどの症状がある場合は、風邪以外の病気が隠れている可能性があります。

重症化の予防につなげるためにも無理をせず、早めに医療機関を受診しましょう。

先生

【この記事の監修者】

<名前>
小浦 良祐(こうら りょうすけ)

<資格>
薬剤師免許/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/第一種衛生管理者/アロマテラピー検定1級

<プロフィール>
大手ドラッグストアで管理薬剤師・地域連携担当・リクルーターを経験後、調剤薬局へ転職。在宅医療・予防医療を学びつつ、2021年に2級FP技能士を取得。現在は管理薬剤師として勤務しながらWebライターとしても活動中。医療用医薬品と市販薬の違いや、市販薬選びをわかりやすく発信している。

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