咳を止める方法は?自宅でできる対処法と医療機関を受診する目安
監修:齋藤 彩
薬剤師/アロマテラピー検定1級/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/CFP®
風邪をひいたときや季節の変わり目に、なかなか治まらない咳に悩む方は少なくありません。夜に眠れない、会話中に咳が出るなど、日常生活に支障が出る場合もあります。
多くの場合、咳は原因に合わせて適切に対処すれば症状を和らげられます。ポイントは、水分補給や加湿などのセルフケア、市販薬の使用など、症状に応じた対応を行うことです。
この記事では、咳が出る原因やしくみ、咳を止める方法、咳を悪化させない予防策、医療機関を受診する目安などを解説します。
咳が出る原因・しくみ
咳は、気道に入り込んだ異物や分泌物を排出するための防御反応です。
気道が刺激されたり炎症が生じたりすると、異物を取り除こうとする働きが強まり、咳が出やすくなります。
咳が出るおもな原因は以下のとおりです。
- 風邪やインフルエンザなどの感染症
- 花粉やハウスダストなどによるアレルギー反応
- 乾燥やほこり、タバコの煙などの環境要因
- 気管支炎や喘息などの呼吸器疾患
風邪などの感染症では、気道に炎症が生じて痰の量が増えるほか、ちょっとした刺激にも反応しやすくなるため、咳が出やすくなります。
アレルギーが原因の場合は、免疫反応によって気道が過敏になり、わずかな刺激でも咳が誘発されることがあります。
また、乾燥やタバコの煙などで気道が刺激され、咳につながるケースも少なくありません。
気管支炎や喘息などでは気道の炎症が続き、咳が長引くこともあります。
すぐにできる咳を止める6つの方法
咳が出るときは、のどや気道への刺激を減らすことが重要です。
咳を和らげるために自宅ですぐにできる方法を見ていきましょう。
こまめに水分補給する
水分補給は、咳を緩和する対処法の一つです。
水分を摂ると気道が潤って刺激が和らぐので、咳が出にくくなります。
また、水分を摂ると痰がやわらかくなり、スムーズに排出できるようになることから、咳の回数が減りやすくなります。
風邪をひいているときは、発熱などで体内の水分を失いやすいため、こまめな水分補給が必要です。
水分を体内に留め、のどが常に潤った状態になるよう、少量ずつゆっくり飲むことを意識しましょう。
部屋を加湿する
空気が乾燥すると、のどや気道の粘膜が刺激を受けやすくなり、咳が出やすくなります。
乾燥による刺激を和らげるには、部屋を加湿して適切な湿度を保つことが大切です。
室内の湿度は40〜60%程度が目安とされています。加湿器を使用しなくても、お湯を沸かす、濡れタオルや洗濯物を干すなどの方法で湿度を保てます。
ただし、湿度が高くなりすぎると不快感を覚えることもあるので、湿度計を確認しながら適切に管理しましょう。
のど飴やはちみつでのどを保湿する
のど飴は唾の分泌を促すため、のどの乾燥や痛みを和らげる効果が期待できます。
外出先などで加湿や水分補給が難しい場合でも、手軽にのどの乾燥対策ができる点もメリットです。
はちみつは、咳を和らげることが期待されています。白湯などの少し温かい飲み物に混ぜると、のどを潤しながら摂取できます。
ただし、1歳未満の乳児がはちみつを口にすると乳児ボツリヌス症を発症する場合があるので、与えないでください。
のどを温めて十分な休息をとる
咳が続く場合は、のどを温めて安静にし、十分な休息をとることが大切です。
冷たい空気や乾燥は気道への刺激となり、咳を誘発することがあります。
また、体力が低下していると呼吸器の炎症が回復しにくく、症状が長引くおそれがあります。
風邪などの感染症が原因の場合は、十分な休息をとり、体の回復を促すことが重要です。体を冷やさないように意識しながら、無理をしないで休養しましょう。
のどに効くツボを押す
のどの不快感や咳は、ツボを刺激すると和らぐことがあります。
咳対策としては、首・手・胸にある「定喘(ていぜん)」「尺沢(しゃくたく)」「孔最(こうさい)」「天突(てんとつ)」などが良いとされています。
ツボを押す際は、息を吐くタイミングでやや強めに押し、吸うときにゆっくり力をゆるめるのがポイントです。
ただし、強く押しすぎると皮下出血を起こすことがあるので、注意しましょう。
なお、ツボ押しはあくまで補助的な対策です。水分補給や加湿、休息などほかの対策と併せて行いましょう。
市販薬を使用する
咳が続いてつらかったり、夜間眠れなかったりする場合は、市販の風邪薬や咳止め薬の使用も選択肢になります。
薬を選ぶ際は、咳のタイプや痰の有無などを確認し、症状に合うものを選ぶことが大切です。
使用時は用法・用量を守り、症状が長引く場合や悪化する場合は早めに医療機関を受診しましょう。
咳止め薬はどう選ぶ?症状に合った市販薬の選び方
咳止め薬の成分にはいろいろな種類があり、それぞれ異なる作用があります。
特徴を理解しておくと、選ぶ際に迷いにくくなります。
乾いた咳には鎮咳成分を配合した市販薬
コンコンと乾いた咳が出る場合は、咳中枢に作用する成分を配合した市販薬を選びましょう。
コデイン類(コデインリン酸塩、ジヒドロコデインリン酸塩)、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物、ノスカピンなどが代表的な成分です。
なお、咳中枢に作用する鎮咳成分には麻薬性のものと非麻薬性のものがあります。
麻薬性のコデイン類は12歳未満の子どもには使用できません。購入・使用の際は、注意事項を確認しましょう。
製品によっては、気管支を広げて呼吸を楽にする作用があるdl-メチルエフェドリン塩酸塩などを配合したものもあります。
乾いた咳が続く場合は、症状に合った成分が含まれているか確認して選ぶようにしましょう。
痰が絡む咳には去痰成分を配合した市販薬
ゴホゴホと痰が絡む咳が出る場合は、痰を出しやすくする去痰成分を配合した市販薬が選択肢になります。
L-カルボシステインやブロムヘキシン塩酸塩などが代表的な成分です。
去痰成分には、痰を排出しやすくしたり、痰の粘りを和らげたりする働きがあります。
痰が排出されることで気道への刺激が軽減されるため、咳の緩和が期待できます。
咳の種類や痰の状態を確認し、症状に合う薬を選びましょう。
のどがイガイガする咳には抗炎症成分を配合した市販薬
のどの乾燥や軽い炎症が原因で、イガイガした不快感とともに咳が出ることがあります。
このような場合は、のどの炎症を抑える抗炎症成分を配合した市販薬が選択肢になります。
代表的な成分は、トラネキサム酸、カンゾウエキス、グリチルリチン酸などです。
これらの成分は、のどの炎症や腫れなどの不快な症状を和らげる効果が期待できます。
咳だけでなく、のどの状態にも注目して薬を選ぶようにしましょう。
咳止め薬を購入する前に確認したいこと
市販の咳止め薬を使用する際は、年齢や体調、服用中の薬との飲み合わせなどをチェックしなければなりません。
製品によって使用できる年齢や注意が必要な成分が異なるので、症状に合うかだけでなく使用条件も確認しましょう。
例えば、コデイン類を含む市販薬は、重篤な呼吸抑制が生じるおそれがあるため、12歳未満の小児には使用できません。
持病がある方や服用中の薬がある方、自動車などの運転をする方、妊娠・授乳中の方などは、使用できない成分や注意が必要な成分が含まれている場合もあります。
特に総合感冒薬(風邪薬)はほかの薬と成分が重複するケースがあり、飲み合わせに気を付けなければなりません。
自分に合う薬が判断できない場合は、薬剤師や登録販売者に相談しましょう。
咳を悪化させない6つの予防策
咳を悪化させないためには、のどや気道への刺激を減らし、乾燥などの環境要因を避けることが大切です。
日常生活で意識したい予防策を押さえておきましょう。
マスクをつける
マスクは、咳の悪化を予防する有用なアイテムです。
空気中のほこりや乾燥した空気、冷たい外気などがのどや気道に入るのを防ぎ、直接的な刺激を和らげます。
また、マスク内は呼気で湿度が保たれるので、のどや気道粘膜の乾燥予防にも役立ちます。
特に空気が乾燥しやすい季節や外出時など、刺激を受けやすい場面では着用を検討しましょう。
うがいする
うがいは、のどに付着したほこりやウイルスなどの異物を洗い流し、粘膜を刺激する要因を減らす基本的な対策であるため、外出後や帰宅時などに習慣として取り入れることがおすすめです。
また、乾燥しやすい環境では、水分補給や加湿などほかの対策と併せて行うとよいでしょう。
タバコの煙を避ける
タバコを吸うと、煙に含まれる有害物質や異物を排出するために咳が誘発されます。
また、煙に含まれる成分でのどや気管支が刺激されると、気道に炎症が生じます。
喫煙習慣があると炎症が続いて気道が過敏になるので、咳が慢性化するケースもめずらしくありません。
自分が喫煙していなくても、受動喫煙で気道が刺激される場合もあるため要注意です。
咳が出ているときは喫煙環境を避け、喫煙習慣がある方は禁煙を検討しましょう。
部屋の環境を調整する
咳を悪化させないためには、室内の環境にも配慮しなければなりません。
空気が乾燥すると気道の粘膜が刺激を受けやすくなるので、加湿器などを活用して適度な湿度を保ちましょう。目安は40〜60%程度です。
ほこりや花粉などのアレルゲンも気道への刺激となります。
こまめな換気や掃除を行い、空気を清潔に保ちましょう。
温度差が大きい環境も気道への負担になるため、室温が急激に変化しないよう調整することが大切です。
のどを使いすぎないようにする
長時間会話を続けたり大きな声を出したりすると、のどや気道に負担がかかり、咳が出やすくなることがあります。カラオケで長時間歌ったあとや、スポーツ観戦・ライブなどで大声を出したあとなども注意が必要です。
咳が出ているときは、できるだけ声を出す機会を減らし、のどを休ませます。
特に乾燥や炎症がある状態では、のどへの負担が大きくなりやすいので、できるだけ安静を保ちましょう。
生活習慣を見直す
睡眠不足や疲労の蓄積は体の抵抗力を低下させ、風邪などによる気道の炎症から咳を誘発することがあります。
栄養バランスの乱れや不規則な生活も体調に影響するため、規則正しい生活を心がけましょう。
また、運動不足は呼吸機能や体力の低下をまねくおそれもあります。
日頃から無理のない範囲で適度な運動を取り入れることも意識しましょう。
十分な睡眠や栄養バランスの良い食事、適度な運動を心がけ、体調を整えることが咳の予防につながります。
咳で医療機関を受診すべき目安
咳は、風邪などを原因とする一過性の症状である場合が多く、安静にしていれば自然に改善します。
ただし、症状が長引く場合や咳以外の症状をともなう場合は、医療機関を受診しましょう。
一般的に、咳が2週間以上続く場合や、一向に回復の兆しが見られない場合は注意が必要です。
市販薬を使用しても改善しない場合は、自己判断で使い続けず医療機関を受診しましょう。
発熱がある、痰に血が混じる、強い息苦しさがある場合は重症な疾患の可能性があるため、速やかに受診することが大切です。
夜間に咳で眠れない状態が続く、日常生活に支障が出ているという場合も、早めに受診しましょう。
咳を止める方法に関するよくある質問3選
咳を止める方法について、よく寄せられる質問と回答をまとめました。
自宅でできる対処法や市販薬の使い方、医療機関を受診する目安を確認する際の参考にしましょう。
Q.咳が止まらないときはどうすればいいですか?
A.水分補給や加湿でのどや気道の乾燥を抑え、刺激を減らすことが大切です。
のど飴やはちみつを取り入れたり、十分な休息をとったりすることも対策になります。
また、市販の咳止め薬を活用するのも選択肢の一つです。
薬剤師や登録販売者に相談して症状に合う薬を選べば、咳を抑えやすくなるでしょう。
ただし、咳が長期間続く場合や、発熱、息苦しさ、血の混じった痰が出るなどの症状がある場合は放置してはいけません。
風邪以外の病気が原因となっている可能性もあるため、早めに医療機関を受診しましょう。
Q.咳が出るときにしてはいけないことはありますか?
A.のどや気道への刺激を増やす行動を避けることが大切です。
例えば、喫煙は気道の粘膜を刺激して咳を誘発するので、控える必要があります。
大きな声を出し続けるなど、のどに負担をかける行為も避けましょう。
部屋が乾燥している場合は加湿を行い、気道への刺激を減らす環境を整えてください。
Q.咳が何日続いたら病院を受診すべきですか?
A.風邪による咳は、時間の経過とともに改善する場合がほとんどです。
ただし、咳が2週間以上続く場合は医療機関の受診を検討しましょう。
長引く咳には、気管支炎や喘息などの呼吸器疾患が関係していることがあります。
なお、咳が続いている期間にかかわらず、息苦しさや胸の痛み、血の混じった痰、発熱などの症状がある場合は早めの受診をおすすめします。
症状が改善しない場合は、様子を見続けるのではなく、医療機関を受診しましょう。
まとめ:咳は原因に合わせた対処と予防が重要
咳を和らげるには、水分補給や加湿などでのどや気道への刺激を減らし、症状に合わせた対処をすることが大切です。
マスクやうがい、生活習慣の見直しなどで、咳を悪化させない環境を整えましょう。
市販薬を使用する場合は、咳の種類や症状に合ったものを選ぶことが大切です。
咳が長引く場合や強い症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
【この記事の監修者】
<名前>
齋藤 彩(さいとう あや)
<資格>
薬剤師/アロマテラピー検定1級/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/CFP®
<プロフィール>
急性期総合病院で消化器内科、産婦人科、緩和ケア領域を中心に経験を積んだあと、医療従事者向けの医薬品情報提供業務に従事。現在も調剤薬局で勤務しながら、医療・健康分野の執筆・監修を行っている。専門的な医療情報をわかりやすく伝え、一人ひとりが適切にセルフメディケーションに取り組めるよう支援することを大切にしている。