風邪をひいてしばらく経つと、のどの痛みや発熱などの症状は落ち着いてきますが、咳が残ったり痰や鼻水の色・性状が変化したりする場合があります。
症状の変化は、風邪が回復へ向かっているときによく見られます。しかし、治りかけの時期に無理をすると、症状の悪化や長期化をまねくことになりかねません。体調を整えるためにも、適切なケアを知っておくことが大切です。
この記事では、風邪の治りかけに現れやすい症状と、早期改善に役立つ対処法を紹介します。風邪のぶり返しをまねきやすいNG行動も解説しますので、風邪を早く治したいときの参考にしてください。
まず、風邪の治りかけの時期に現れやすい症状を詳しく見ていきましょう。風邪をひいたときによく見られる症状や対処法、風邪にかからないようにする方法などは、以下の記事でも解説しています。
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風邪の治りかけの時期になると、発熱や鼻づまりなどの症状は少しずつ落ち着いてきます。しかし、気道粘膜には炎症が残っているため、分泌物が増えて痰が出やすくなることがあります。口呼吸による乾燥で痰が絡みやすくなったり、咳の影響で痰が増えたりする場合も少なくありません。
さらに、風邪の経過中には、黄色や緑色になることもあります。ただし、痰の色の変化だけで風邪の回復状況を推測するのは適切ではありません。ほかの症状もチェックしながら総合的に判断する必要があります。
鼻水は、風邪のひきはじめやピーク時にも見られますが、治りかけの時期には性状が変化することがあります。
風邪の初期には、さらさらとした水っぽい鼻水が出ることが多いですが、治りかけになると粘り気が増すこともめずらしくありません。また、痰と同様に風邪の経過中には、黄色や緑色になることがあります。鼻水の色が普段と違ったり、粘り気が強くなったりすると心配になるかもしれませんが、質感や色の変化は、風邪の治りかけに見られる特徴の一つです。
風邪の諸症状のなかでも咳は長引くことが多く、治りかけの時期になっても続くことがあります。咳が残りやすいのは、風邪の原因であるウイルスなどによって気道粘膜が傷つくためです。
発熱などの症状が落ち着いたあとでも、のどの炎症が完全に引いていなかったり、気道が敏感になっていたりすると、咳が出やすい状態が続きます。ホコリや寒暖差、花粉、エアコンの風などのわずかな刺激に反応して、咳が誘発される場合もあります。
倦怠感や疲労感も、風邪の治りかけの時期にみられやすい症状の一つです。治りかけの時期は、体の回復よりも免疫システムなどの修復が優先されます。そのため、免疫システムが元の状態に戻るまでの期間は、だるさや疲れやすさを感じやすくなります。
発熱をはじめとする風邪の症状や回復の過程で消耗した体力を取り戻すには、時間とエネルギーが必要です。症状が良くなってきても、普段と同じ生活をすると疲れを感じることがあるので、無理をしないことが大切です。
風邪の治りかけの時期に痰や咳が増えるのは、ウイルスや細菌の量が減ったあとも体の防御反応が続くからです。
風邪によって気道粘膜が傷つくと、修復の際に痰の分泌が続くことがあります。気道に残っているウイルスや細菌、白血球の残骸などを排出するために、痰が増える場合もあります。
咳が増えるのは、炎症が残っていたり気道が過敏になっていたりすることなどが原因です。気道が敏感になっている間は、わずかな刺激でも咳が出やすくなります。
なお、風邪の経過中に痰や鼻水が黄色に変わるのは、死滅したウイルスや細胞、白血球などが含まれるためです。緑色になるのは、白血球内に含まれる酵素の色の影響とされています。
次は、風邪の回復をサポートする対処法を5つ紹介します。風邪を早く治す方法は以下の記事でも解説していますので、参考にしてください。
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風邪のひきはじめやピーク時と同じように、治りかけの時期も適切な水分補給が大切です。水分を十分に摂ると、のどや鼻の粘膜を潤すことができます。
しっかり水分補給をすると、気道粘膜が潤って痰がやわらかくなるため、ウイルスや細菌の排出にも役立ちます。治りかけの時期は、白湯やカフェインを含まない温かいハーブティーなど、体が温まる飲み物で水分補給するのがおすすめです。
風邪の症状が落ち着いてきたら、消化が良く栄養価の高い食事を摂るようにしましょう。
例えば、おかゆやうどんは、胃腸にかかる負担を抑えながらエネルギー源となる炭水化物を摂取できます。卵を使った温かい料理や湯豆腐などを選ぶと、免疫抗体の材料となるタンパク質を補給できます。疲労感が強いときや免疫力を高めたい場合は、温かいレモネードなどでビタミンCを摂るのも良い方法です。
風邪をひいたときにおすすめの食べ物や栄養素は以下の記事でも詳しく解説していますので、ご一読ください。
風邪の治りかけの時期は、ひきはじめや症状がひどいときと同じく体を温めることも重要です。毛布や衣服で体を冷やさないようにしたり、飲み物や食事で体の内側から温めたりするのもよいでしょう。
太い血管がある首・足首・手首を重点的に温めるのもおすすめです。温められた血液が全身を巡り、指先など体の末端まで温まりやすくなります。
ただし、汗をかくほど温めるのは避けてください。汗で体が冷え、逆効果になることがあります。
風邪の症状が軽くなってきたら、体力や免疫機能の回復を促すために、質の高い睡眠をとるようにしましょう。以下のポイントを意識して生活に取り入れると、睡眠の質がより高まりやすくなります。
必要とされる睡眠時間は、体質や年齢などによって変わってきます。日中に強い眠気がなく、自然に目覚められる場合は、睡眠が十分にとれているといえるでしょう。
なお、睡眠に適した室温は約18~22℃(夏場は26℃前後)、湿度は40~60%とされています。
風邪の治りかけの症状に対処するには、症状に合わせて市販薬を服用するのも手段の一つです。
ただし、風邪の市販薬はあくまで症状を和らげるために使うものであり、治すためのものではない点に留意しましょう。風邪の治りかけに対処するには、ここまで紹介した方法を実践することが重要です。
市販薬の使用は、ほかの対処法を試したうえで体に無理をさせず、より回復しやすい状態に整えるための補助として使用するという意識を持つのがおすすめです。
風邪の治りかけの時期には、症状を悪化させる行動・長引かせる行動を避けることも大切です。どのような行動がNGなのかを具体的に解説します。
アルコールは免疫の働きを低下させたり、のどの粘膜を乾燥させたりすることがあります。また、利尿作用で脱水をまねく可能性もあります。したがって、治りかけの時期は飲酒を控えるほうが無難です。
咳や痰、のどの痛みなどが残っている場合は、飲酒で炎症が強まることもあります。回復を妨げないためにも、体調が整うまでは無理にお酒を飲まないようにしてください。
風邪の症状が落ち着いてきても、喫煙はおすすめできません。タバコの煙に含まれる成分で気道粘膜が刺激されると、炎症が悪化して症状が長引くことがあります。また、タバコに含まれるニコチンには、血流を悪化させたり免疫細胞の働きを弱めたりする作用があるため、回復が遅れるおそれがあります。
さらに、喫煙は痰を増やす一方で、痰を押し出す線毛の動きを弱めるので、咳が長く続きやすくなります。不快な症状をやわらげるためにも、喫煙は控えるべきでしょう。
風邪が完全に治るまでは、体力回復の妨げとなる激しい運動や強い負荷のかかるトレーニングなどは避けてください。
治りかけや回復直後の時期に体を動かす場合は、いきなり高強度の運動を行うのではなく、無理のない範囲から段階的に取り組むことが大切です。軽めの散歩やストレッチなどは、体に負荷がかかりにくいおすすめの運動です。ただし、体調に違和感を覚えたら、無理をしないですぐに休むようにしましょう。
香辛料をたっぷり使った刺激の強い料理や肉類などカロリーの高い食事は、のどや胃腸に負担をかけやすいので、控えるほうがよいでしょう。
辛味の強い料理を食べ過ぎると、のどの粘膜が刺激されて痛みが増すことがあります。また、食事中に汗をかきやすくなるため、回復に必要な水分が失われる可能性もあります。高カロリーな食事を無理に摂ると消化器官に負担がかかり、風邪とは別の不調をまねくこともあるでしょう。
したがって、治りかけの時期は香辛料の多い料理を避け、胃腸への負担が少ない消化の良いメニューを選ぶようにしてください。
治りかけの時期に入浴すること自体は、特に問題ありません。しかし、湯船に長い時間つかったり、温度の高い湯に入ったりするのは、体力を余計に消耗してしまうおそれがあるため、避けるのが望ましいです。
体に負担をかけないよう湯温は40℃以下を目安とし、長湯は避けつつ、湯冷めしないよう注意して入浴するようにしましょう。
最後に、風邪の治りかけの時期に関するよくある質問と回答を紹介します。
風邪の治りかけの時期は、原因となるウイルスによって異なりますが、症状が改善したあともしばらくウイルスを排出することがあります。
したがって、風邪の治りかけの時期は、人にうつす可能性がある期間と考えておくのが適切です。
また、症状が改善して風邪が治ったように感じても、一定期間は感染力が残る場合があります。マスクの着用やこまめな手洗い、消毒などの基本的な感染対策は、症状が落ち着いたあともしばらく続けるようにしてください。
風邪の治りかけの時期は、症状が落ち着いているように見えても免疫力や気管の状態はまだ本来の状態まで戻り切っていません。無理をすると別のウイルスや細菌に感染して、再び風邪をひいた(ぶり返した)ように感じることもあるでしょう。
一度は体調が良くなりかけたのに、再び咳がひどくなったり熱が出たりする場合は、「風邪をこじらせた状態」になる可能性もあります。
ぶり返しやこじらせの予防につなげるためには、治りかけの時期に無理をせず、体力の回復を優先することが大切です。
市販の風邪薬は、症状が改善したら服用を終えてかまいません。処方薬の場合は、医師や薬剤師の指示にしたがって服用してください。
なお、市販薬を服用する際は、使用上の注意に記載されている服用回数や期間を守りましょう。用法・用量を守って服用しても症状が改善しない場合は、早めに医師や薬剤師に相談してください。
風邪の治りかけの時期になると、痰の量や色、鼻水の性状が変化したり、咳が長引いたりするほか、倦怠感や疲労感などが見られることがあります。これらの症状は、免疫細胞がウイルスや細菌を排除する過程で生じると考えられています。
治りかけの状態から早く回復するには、適切な水分補給や栄養の摂取、適度に体を温めることや睡眠の質を高めることなどを意識するとよいでしょう。また、飲酒や喫煙、激しい運動や香辛料の多い料理、高カロリーの食事などは症状を悪化させたり回復を妨げたりするおそれがあるため、できるだけ避けましょう。
風邪の症状が長引いたりぶり返したりしないよう、治りかけの期間は無理をせず、体力の回復を優先して過ごすようにしましょう。
北垣 毅(きたがき たけし)
米国家庭医療専門医/日本医師会認定産業医
米国認定救命救急士/難病指定医/認知症サポート医
米国医師免許
内科、小児皮膚科、小児科、耳鼻咽喉科、消化器内科。認知症、頭痛、不眠など。
日本内科学会
日本救急医学会
日本プライマリケア連合学会
米国家庭医療学会
高知大学医学部卒業。日本医科大学高度救命救急センターで研修。
米国で救急士教育を修了し、家庭医療学センターで研修。
亀田総合病院総合診療科医長、東川口病院総合診療科部長、花見川中央クリニック院長などを歴任。
千葉大医学部臨床教授、東京女子医大八千代医療センター研修指導医を経て、たけしファミリークリニック院長。
日本テレビ「THE突破ファイル」などで医療監修、フジテレビ「めざましテレビ」などに出演。
YouTube「たけちゃんねる」で医療情報を発信。
たけしファミリークリニック 公式サイト
https://takeshi-familyclinic.com/