「おなかがすいているはずなのに食べたくない」
「急に食欲がなくなってしまった」といった症状が続くことを、
食欲不振と呼びます。徐々に食欲がなくなる人もいれば、急激に食欲が低下する人もいます。
バランスのとれた食事は健康の基本です。
食欲がなくなり食べられなくなったら、
栄養不足で心身に影響が出る前に原因をつきとめ、
対処していきましょう。
この記事では、食欲不振の症状やおもな原因、食欲不振になったときの対処法などを解説します。
医療機関を受診する目安も解説していますので、
記事を参考にしながら症状を改善していきましょう。
食欲がわかない状態を「食欲不振」と呼びます。
食欲不振の現れ方は人それぞれです。徐々に食欲がなくなることもあれば、急に食欲がなくなることもあります。急な食欲不振の場合、ある日突然食べられなくなるといった大きな変化として現れるため、戸惑ったり不安に思ったりする方も多いでしょう。
また、食欲不振は程度によって以下の4つの段階に分けられます。
一口に食欲不振といっても、その程度はさまざまです。食欲が出ない、食事がなかなか進まないと感じたら、まずは自分の状態を把握するところから始めましょう。
一時的な食欲低下と慢性的な食欲不振の違いはどこにあるのでしょうか。
前日の食べすぎ、夏バテや軽度のストレスなどを原因とする、1~2日程度で自然に回復するものは一時的な食欲低下です。生活習慣を見直し、様子を見て問題がなければ心配することはないでしょう。
特別な理由がないのに1~2週間以上症状が続く場合や、急激な体重減少をともなう場合は慢性的な食欲不振といえます。食欲が出ないだけだからと放置すると、心身に大きな影響が出る可能性があるため、早めの対処が重要です。
食欲不振に病気が隠れている可能性もあります。ただの食欲の変化だと考えず、注意しましょう。
食欲不振を引き起こすおもな原因としては、以下の5つが挙げられます。
睡眠不足や過度なダイエットなどの生活習慣は、食欲に大きく影響します。
睡眠不足は自律神経やホルモンバランスを乱す原因となり、食欲不振につながります。睡眠は脳や体の疲れをとるために欠かせないものです。睡眠不足は免疫力や作業効率の低下、病気のリスク増加などもまねくため、適切な睡眠時間と睡眠の質を確保しましょう。
また、ダイエット志向が強くなり、食欲が低下することもあります。体重増加を恐れて過度に食事を制限し続けると、摂食障害にまで発展しかねません。適正体重を知り、無理のない範囲・方法で体重を減らすことを検討しましょう。
これらのほか、暑さや寒さなど、周囲の環境により食欲が低下するケースもあります。体に負担がかかっていないか、生活習慣と周囲の環境を見直してみましょう。
加齢により噛む力や飲み込む力が低下したり、胃腸の機能が低下したりすることで食欲不振になることもあります。特に高齢者だと、味覚の変化や嚥下(えんげ)機能の低下によって食事に抵抗感が出やすく、食欲不振につながりがちです。
年齢が上がると病気にもかかりやすくなります。単なる食欲不振と思っていたものに、病気が隠れている可能性もあるでしょう。高齢になると自身の体調変化に気付きにくくなるため、少しの症状であっても、気になったら医療機関を受診することが大切です。
アルコールの飲みすぎによって肝臓に負担がかかると、肝機能が低下します。肝機能低下は食欲不振や疲れやすさ、吐き気などさまざまな症状につながります。二日酔いで食欲不振になることもあるでしょう。
アルコールを頻繁に飲む人は、飲酒の量や頻度を抑えることで状況の改善につながるかもしれません。
女性の場合は、妊娠時のつわりによって食欲不振に陥っている可能性があります。
一般的に、妊娠5~6週頃から食欲不振や吐き気、嘔吐などの症状が出ます。つわりは妊娠12~16週頃まで続くとされていますが、症状の有無や出方には個人差があり、日常生活に影響が出てしまう人もいれば、まったく症状のない人もいます。
食欲不振が続いていて、妊娠の可能性がある場合は、産婦人科を受診しましょう。
治療や薬の副作用で食欲不振になるケースもあります。薬によっては、胃の不快感や吐き気などが起こり、それらにともなう食欲の低下が見られます。
副作用による食欲不振は避けるのが難しいこともありますが、症状が強い場合や続く場合は自己判断で薬の服用を中止せず、主治医に相談しましょう。
食欲不振になったときは、以下の3つの方法を試してみましょう。
食欲がないときは、少量でも必要な食事をとることで、健康への影響を最小限に抑えられます。
食べやすい調理法・レシピに変えることも大切です。のど越しや消化に良い食品に変えることで、胃腸への負担を減らせます。おすすめの料理、食材は以下のとおりです。
自分の好みに合わせて、食べやすいものを優先して食べましょう。
食事が難しい場合は、市販の栄養補助食品を活用するのもおすすめです。体調を取り戻すまでのつなぎとして、栄養価の高いもので栄養を補給していきましょう。
どうしても固形物を受け付けない場合でも水分は必ずとるようにしてください。水分不足が気になる場合は、経口補水液などで脱水を防ぐのもよいでしょう。ただし、経口補水液は日常の水分補給として飲むものではないため、製品に記載の用法・用量を確認してから補給してください。
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ストレスによる食欲不振が考えられる場合は、原因となっているストレスを軽減させましょう。心に負担がかかる状態が続くと自律神経のバランスが乱れ、食欲が低下することがあります。
運動する、親しい人と会って話す、散歩する、音楽を聴くなど、リラックスの手段は人それぞれです。気持ちを紙などに書き出したり、ゆっくり呼吸したりすることも、心を軽くする際に役立ちます。
自分の性格や特性に合った方法を考えておき、ストレスを軽減するだけではなく、そもそも心に負担がかかる状態にしない工夫もしていきましょう。
一時的な食欲不振には市販薬で対応してみるのも手です。ドラッグストアなどでは、食欲不振の緩和につながる市販薬が販売されています。食欲がわかないだけでなく、胃の不快感などほかの不具合がある場合は、それに応じたものを選ぶことが大切です。
市販薬を使用する際は、パッケージや添付文書などに記載された効能・効果や用法・用量、使用上の注意をよく確認しましょう。不安な場合は、薬剤師などに相談してから使用してください。
市販薬を使用しても食欲不振が改善されない場合は、自己判断で使用を続けず、医療機関を受診しましょう。
生活習慣を改善したり、ストレスを軽減したりしていても、食欲不振が良くならないこともあります。長引く食欲不振には病気が隠れている可能性もあるため、医療機関の受診を検討しましょう。
食欲不振になったときの医療機関受診の目安は以下のとおりです。
これらの状態を「食欲がないだけ」と放置していると、さらに症状が悪化してしまう可能性があります。自分の状態を客観的に把握しましょう。
最後に、食欲不振に関するよくある質問を解説します。
食欲不振の原因やそれにともなうほかの症状によって、受診すべき科は異なります。
胃に不快感がある場合は消化器内科、食欲不振以外にも体の症状がある場合は内科、気分の変化がある場合は心療内科を受診しましょう。持病があり服用している薬がある場合はかかりつけ医の受診がおすすめです。
何科を受診すればよいかわからない場合は、内科に相談するとよいでしょう。
専門の医療機関では、食欲不振の原因を特定したうえで、食事指導、投薬といった方法が用いられることがあります。場合によっては、生活習慣の改善をサポートしてもらうこともあるでしょう。
症状によって対応方法が異なるため、医師の説明をしっかりと聞いたうえで治療していきましょう。自分だけで原因を判断せず、医療機関に相談して原因を特定することが大切です。
成人に比べて体力や体の余力が十分でない子どもや高齢者は、少しの体調の変化でも大きな病気につながることがあります。食欲不振の場合、脱水症状や急激な体力低下をまねく可能性があるため、本人が気を付けるだけでなく、周囲もしっかりと状態を確認することが大切です。
子どもは自分の不調を言葉にできず、周囲の人が症状に気付けない可能性があります。感染症や心身への負担が原因で急に食べられなくなるおそれがあるため、日頃から不調がないか見守りましょう。
高齢者は加齢により食事量が減りやすく、病気などによる食欲不振を見逃してしまうおそれがあります。食欲不振を放置すると、寝たきり状態や免疫力低下につながりかねないため、少しの違和感も見逃さないようにしましょう。
食欲不振の人に無理に食事をさせようとしても負担になってしまいます。食欲不振の原因を調べ、食べられるものを食べられるときに少しずつ提供して様子を見ることが大切です。また、飲み込みやすい食べ物を選ぶ、食べやすい姿勢をとれるよう机や椅子の配置を見直すといった工夫もできます。
家庭での対応が難しいと感じた場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
食欲の低下は誰しもが経験し得る症状です。一時的な食欲の低下であれば、時間が経つにつれて自然に回復することもありますが、食欲のない状態が長引き、心身に影響が出る場合、様子を見ているだけでは状況を改善できません。
食欲不振の原因は人によってさまざまです。睡眠不足や過剰なダイエット、飲酒、加齢などのほか、病気が原因となっているケースもあります。
食欲不振があるときには、食べやすく消化の良いものを選び、ストレスを発散し、市販薬を活用しながら対処しましょう。生活習慣を見直しても症状が改善されない場合や症状が重い場合は、医療機関を受診して医師の判断を仰ぐことが大切です。
食事は生活の基盤となります。食欲がわかない、食事をとりたくないと思ったら、早めに対処していきましょう。
五藤 良将(ごとう よしまさ)
日本内科学会認定内科医
日本抗加齢医学会専門医
日本温泉気候物理医学会温泉療法医・温泉療法専門医
東京都立荏原看護専門学校校医
日本医師会認定産業医
難病指定医
内科、小児科、糖尿病内科、アレルギー科、皮膚科、整形外科、消化器内科、耳鼻咽喉科、脳神経外科
日本内科学会/日本糖尿病学会/日本温泉気候物理医学会/日本アレルギー学会
日本東洋医学会/日本リウマチ学会/日本外来小児科学会/日本睡眠学会
竹内内科小児科医院 院長。
内科、小児科、糖尿病内科など幅広い診療科に携わる。
東京都立荏原看護専門学校 校医。
糖尿病関連の製薬会社セミナーなどで講演実績あり。
著書『内臓脂肪 中性脂肪 コレステロールがみるみる落ちる 血液と体の「あぶら」を落とすスープ』。
NHK「趣味どきっ!」、テレビ東京「なないろ日和!」など出演。
日本テレビ「THE突破ファイル」「ニノさん」などで医療監修。