かぜには様々な症状や原因があります。
身近な病気だからこそ、よく理解しておけば、
いざというときの対処に役立つはずです。
知っているようで知らない、“かぜ”を学びましょう。
かぜの予防は、病気の原因となるウイルスの侵入を防ぐことが大切です。
ウイルスの感染経路を知って予防しましょう。
ウイルスの感染経路
ウイルスは空気中に広く、長時間にわたって漂い続けることは少なく、エアロゾルとなって空気中に漂うウイルスを直接吸い込むいわゆる「空気感染」の割合はそれほど多くありません。最も多く、注意したいのは「飛沫感染」です。接触感染は飛沫感染ほど多くはありませんが、要注意です。
飛沫感染は、感染した人のせきやくしゃみにより比較的近距離(1~2メートル)に飛び散った飛沫(ウイルスを含んだ(微細な)唾液)を周りの人が吸い込むなどして、粘膜や結膜に付着することで起こります。
一方、接触感染は、感染者の鼻水や唾液などの分泌物に直接または間接的に触れることで、ウイルスが体内に入り込み感染します。
はしか、水疱瘡、結核
など限られている
インフルエンザ、
マイコプラズマなど
多くの呼吸器の感染症
ノロウイルス、かぜウイルス、
エンテロウイルスなど
ノロウイルス、狂犬病、
日本脳炎、デング熱など
出典:「かぜと新型インフルエンザの基礎知識」(岡部信彦著、少年写真新聞社)より一部改変
新型コロナウイルス感染症では、飛沫感染より広い範囲に感染が及ぶ「エアロゾル感染」があるところから、最近WHO(世界保健機関)では、「エアロゾル」と「飛沫」の区別をやめ、感染性呼吸器粒子 (Infectious Respiratory Particles, IRPs)と称する新しい概念を提唱しています。
毎日できる予防法
かぜをひかないためには、どのようなことに気を付ければよいのでしょうか。ここでは、日頃の生活に取り入れやすい5つの予防法をご紹介します。
ウイルスが侵入しやすい口や鼻へのバリアの役割を担うマスクは、飛沫感染を予防するのに重要です。また、のどの乾燥を防ぎ、粘膜や線毛の働きを助けてウイルスの侵入を防ぐ効果も期待できます。飛沫感染を防ぐだけでなく、自分が保有するウイルスを周囲の人にうつしてしまうのを防ぐ点でも有用です(せきエチケット)。
いろいろな物に触れる機会が多い「手」は、病原体にも触れやすい部分です。そのため、手を清潔に保つことは感染症予防の基本となります。
手をしっかり洗うには石けんを使うのが効果的ですが、石けんで手が荒れやすい人や、石けんが使えない状況では、水で手のすみずみまで丁寧にこすり洗いすることでも効果があります。
水うがいには、ウイルスを洗い流す、病原体の力を弱める、口のなかを清潔にして湿り気を与えるなどの効果があります。効果的なうがいの方法は以下を参考にしてください。
出典:「かぜと新型インフルエンザの基礎知識」(岡部信彦著、少年写真新聞社)より一部改変
感染症を予防するには、以下3つを基本として意識しましょう。
食事や睡眠に気を付けるとともに、適度な運動でかぜに負けない体力を付けましょう。ジョギングや水泳のようにハードでなくても、ウォーキングやヨガなども良い運動になります。
子どもには、外で元気に遊び、おなかが空いたらしっかり食事を摂り、ほどよく疲れてぐっすり眠るという生活リズムを身に付けさせましょう。こうした習慣を続けることで体が丈夫になり、感染症に対する抵抗力も高まります。
室内は暑すぎず、寒すぎない快適な温度を保ち、感染しにくい環境を整えましょう。また、湿度の低い冬場は乾燥にともない鼻やのどの粘液が少なくなって体の防御機能が低下し、ウイルスへの感染リスクが高まります。加湿器などで乾燥を防ぎ、換気も忘れないようにしてください。
加湿器に水を継ぎ足す際は、容器内に菌が繁殖しないよう、容器をよく洗ってから水を足しましょう。
かぜは医学的には「かぜ症候群」といい、特定の病原体による症状を指すものではなく、主に呼吸器系に現れる症状の総称です。ほとんどのかぜは自然に回復していきますが、なかには中耳炎や肺炎、脳炎などの合併症を引き起こす場合もあるため注意が必要です。
かぜをひかないよう、日頃からマスクでの予防、手洗いやうがい、温度・湿度の管理に努めましょう。かぜをひいてしまった場合は安静を第一にし、こまめに水分を摂ることが重要です。症状がつらいときには体調に合わせて市販のかぜ薬を服用し、症状をやわらげるのもよいでしょう。
ただし、症状が長引いたり、いつもと違うと感じたりした場合は、ためらわずに医療機関を受診するようにしてください。