仕事や家事、育児など、日常生活のさまざまな場面で疲労はたまります。たまった疲労を解消しないままでいると、「朝から体がだるい」「寝ても疲労感が抜けない」「仕事に集中できない」など、さまざまな身体的不調が現れます。不調を放置していると病気に発展することもあるため、早めに対処しましょう。
体の疲れが取れないときは、その原因を探ることが大切です。原因を知り、原因に合わせて対処しましょう。
この記事では、なかなか取れない体の疲れの原因を5つ解説し、体が疲れているときの対処法、疲労感が抜けないときの医療機関受診の目安を紹介します。記事を参考に、疲労をためない生活習慣を身に付けていきましょう。
疲れには身体的なものや精神的なものなどさまざまな側面があります。今回は、日々の生活やオーバーワークによる身体的疲労に注目し、解説します。
身体的疲労が発生すると、集中できない、眠れない、頭痛がする、だるいといった症状が現れます。通常の疲れは体を休めることで回復しますが、疲労が深刻化すると、休んでも疲れが取れなくなることもあるため注意が必要です。
自分の体の状態を把握し、疲れが取れないときは原因にしっかりと向き合うことが大切です。疲れを放置すると病気につながってしまう可能性もあるため、疲労をそのままにしないようにしましょう。
疲れを取るには、疲れの原因を知ることが大切です。ここでは、体の疲れが取れない主な原因を5つ解説します。思いあたる原因がないか、考えてみましょう。
年齢を重ねると、筋肉量が低下したり基礎代謝が低下したりします。一般的に、運動機能は30代から低下していき、代謝機能は60代以降に低下します。体の機能が低下することで疲れやすくなり、疲労の回復も遅くなることで、なかなか疲れが取れなくなるという悪循環に陥るのです。
また、女性の場合、閉経を迎える40~50代の更年期に女性ホルモンの量が減少します。そこから自律神経のバランスが崩れやすくなり、疲労感につながることもあります。
オーバーワークや家事、育児などで肉体的疲労がたまり、疲れが抜けないと感じる方も多いでしょう。
デスクワークの場合、仕事での身体的疲れだけではなく、一日中パソコンに向き合うことで脳や目を酷使し、疲労を感じます。家事や育児は休憩する時間を自由に取れず、疲労が徐々に蓄積されていくでしょう。
疲労がたまると作業効率が低下し、生活に支障が出てしまいます。自分で仕事量や家事、育児の量を調整できない場合は、周囲の人に相談して状況を改善できないか考えていきましょう。
自分がどれくらい疲れているのか客観的に理解するには、厚生労働省の「働く人の疲労蓄積度セルフチェック2023」などを活用するのがおすすめです。疲労度合いをチェックして、自分の状態を把握しておきましょう。
日中の疲労を取るには、良質な睡眠が欠かせません。睡眠不足は身体的疲労につながり、日中の眠気、注意力散漫、モチベーション低下などの悪影響をもたらします。
睡眠は量だけではなく質も大切です。寝ても疲れが取れない場合は、睡眠の質が低下している可能性が高いでしょう。寝る時間を確保するだけではなく、寝る環境を見直し、睡眠の質を高めましょう。
栄養不足や運動不足、夜更かしなどの生活習慣の乱れも、体のエネルギー不足や疲労につながります。
規則正しい生活リズムを維持しなければ、体内時計が乱れて最適な睡眠時間を確保できなくなり、自律神経が乱れます。バランスの良い食事と適度な運動、また睡眠で体内時計を正しく整えましょう。
自分の生活習慣ではなく、気温や気圧、湿度など、周囲の環境が体の不調を引き起こしている場合もあります。
特に、季節の変わり目は日中の寒暖差が大きく、自律神経が乱れやすくなり、疲労を感じやすくなります。また、夏や冬は、気温と室温の差が激しいことで疲労を感じる場合もあるでしょう。
気象以外にも、騒音や振動、照明が疲れにつながるケースもあります。快適に過ごせる環境に求める条件は人それぞれです。自分が落ち着いてゆったりと過ごせる環境を作りましょう。
周囲の環境が悪いと、疲労だけでなく、頭痛やめまい、肩こりなどのさまざまな症状を引き起こします。日常生活に支障が出ている場合は、疲れをためない工夫が欠かせません。体の状態をしっかりと把握して、疲れと向き合っていきましょう。
生活習慣を改善させることが、疲労回復につながります。体が疲れているときは、以下の4つの方法を試してみましょう。
睡眠は体の疲れをいやす重要な要素です。量と質の両方を意識して改善させましょう。
必要な睡眠時間は年齢・季節によって変化しますが、1日6時間以上を目安にしましょう。毎日同じ時間に就寝・起床することで、体内時計にメリハリが生まれ、すっきりと目覚められるようになります。
また、以下のような工夫をして、睡眠の質を高めましょう。
睡眠をしっかりとることは、疲れを取るだけでなく、ほかの不調を引き起こすリスクを下げることが期待できます。
栄養バランスが整った食事は健康的な生活の基本です。三大栄養素であるタンパク質、脂質、炭水化物だけでなく、ミネラルやビタミンも重視して、バランスの良い食事を心がけましょう。
疲労対策には、ビタミンB群やカルシウム、鉄などの栄養素がおすすめです。これらの栄養素が含まれる食材やメニューを紹介しますので、食事に取り入れてみてください。
| 栄養素 | 概要 | 食材 | メニュー |
|---|---|---|---|
| ビタミンB群 | ビタミンB1・B2・B6・B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチンの総称。エネルギーの代謝を助ける効果があり、疲労回復に役立つ。 | 豚肉・レバー うなぎ・あさり・たらこ 玄米・雑穀 |
玄米ご飯 あさりの味噌汁 豚肉とニラの炒め物 たらこのパスタ |
| カルシウム | 骨や歯をつくり、血液や細胞などの機能を調整する働きがある。カルシウムの吸収を助けるビタミンDと一緒に摂取するのがおすすめ。 | 乳製品 小松菜・水菜・切り干し大根 ひじき・ごま 木綿豆腐・納豆 |
きのこを使ったクリームシチュー 小松菜としらすの炒め物 豆腐ハンバーグ |
| 鉄 | 健康維持に必須のミネラル。酸素を運ぶヘモグロビンの材料となり、筋肉の代謝を助ける。 | あさり・しじみ レバー 納豆 小松菜・ひじき プルーン |
小松菜を使ったビビンバ ひじき煮 レバニラ |
疲れたら休むことも大切ですが、適度に体を動かすことも疲れを取るのに役立ちます。適度な運動やストレッチは、リフレッシュ感や前向きな気分につながり、アクティブレストとして注目されています。
体を動かすことで筋肉が動き、血液の循環を促して老廃物を排出しやすくなります。ウォーキングやジョギングなどの軽い有酸素運動、ストレッチ、柔軟体操、ヨガ、ピラティスなど、運動の方法はさまざまです。
運動習慣は健康リスクを低減させるだけではなく、疲れにくい体づくりにもつながります。負担がかかりすぎない方法・頻度で、まずは簡単な運動から日常に取り入れましょう。
市販の医薬品(栄養ドリンクや錠剤など)を使って疲労回復をサポートする方法の一つです。不足している栄養素を手軽に補えるため、早く疲労を回復したい場合に向いています。
医薬品は用法・用量を必ず守り、あくまで疲労回復の補助と考えましょう。医薬品に頼りすぎず、生活習慣を見直すことが大切です。
十分な睡眠をとり、栄養バランスに気を付けていてもなかなか疲れが取れない場合は、病気が原因である可能性があります。一部の病気は慢性的な疲労感を引き起こし、生活習慣の改善では状況は良くなりません。
以下のような症状が続く場合は、医療機関を受診しましょう。
倦怠感が続く場合は、基本的には内科を受診してください。病気かどうか不安な場合は、まずはかかりつけ医に相談するのもよいでしょう。
自分の体の状態をよく観察し、これくらいなら大丈夫と安易に判断せず、症状が続く場合は医療機関に相談しましょう。
最後に、体の疲れに関するよくある質問を紹介します。
疲れを放置していると、ほかの不調につながるリスクが高まります。疲れがさらに不調を呼び、病気に発展すると、生活に大きな影響が出てしまうこともあるでしょう。日常的な疲れを放置せず、疲れをためない工夫が必要です。
どうしても疲れが取れないときは、医師に相談するのがおすすめです。病気が原因で倦怠感・疲労感が出ている可能性があります。
デスクワークでは長時間同じ姿勢を続けることや、パソコンのモニターを見続けることで疲労が発生します。
目への負担を軽減するために、パソコンの明るさと位置を調整しましょう。タイピング時に肩や腕に力が入りすぎないよう、デスクの高さを調整することも大切です。
背筋を伸ばし、足裏全体を床につけ、良い姿勢を保ちましょう。適宜休憩をはさみ、ストレッチを行うことで、体をほぐし、血行を促進させてください。立ったり、歩いたり、可能なら仮眠をとったりするのもおすすめです。
体づくりの基本は適切な食事、睡眠、運動です。食生活を見直す、睡眠環境を改善する、普段より少しだけ長く歩く、筋力トレーニングを行うことなどで、疲れにくい体につながります。できることから少しずつ生活に取り入れていきましょう。
自分の体の変化を知ることも重要です。加齢やホルモンバランスの変化により、これまでは問題なくできていたことでも、疲労を感じやすくなります。自分の状態に合わせて、仕事や家事、育児の量、周囲の環境を整えていきましょう。
疲れの原因には加齢や長時間の仕事・家事、睡眠の量と質の低下、生活習慣の乱れ、周囲の環境などが挙げられます。日常生活を送るなかである程度疲れてしまうのは仕方がないことですが、疲れをそのままにしてしまうと、生活に支障が出てしまいます。
なんとなくいつも疲れている、寝ても疲れが取れない、と感じる場合は、食事・睡眠・運動の3つを意識して見直してみてください。疲労回復に役立つ医薬品も活用しながら、疲れにくい・疲れをためない生活を目指しましょう。
生活を改善しても疲れが取れないなら、病気が原因で疲労感が出ている可能性があります。無理をせず、内科やかかりつけ医に相談してみましょう。
坪田 聡(つぼた さとる)
医師・医学博士
日本整形外科学会 専門医
日本リハビリテーション医学会 認定臨床医
日本医師会認定産業医
睡眠医学・睡眠障害、整形外科、リハビリテーション
日本睡眠学会(ほか、日本医師会所属)
医師・医学博士。つざわ津田病院副院長。
睡眠領域で20年以上にわたり診療・情報発信に携わる。
睡眠や健康に関する執筆・講演活動も行い、著書多数。
睡眠領域で20年以上の臨床経験を持つ。
著書に『脳も体も冴えわたる 1分仮眠法』『快眠★目覚めスッキリの習慣』など、睡眠に関する著書多数。
つざわ津田病院 公式サイト
https://tsudahp.jp/