• TOP
  • 除菌コラム
  • 11月 これからのシーズンはノロウイルスに注意!次亜塩素酸ナトリウム除菌で対策を!

除菌コラム

11月 これからのシーズンはノロウイルスに注意!次亜塩素酸ナトリウム除菌で対策を!

除菌と感染症

2021.10.25

感染性胃腸炎・食中毒の発生は夏だけではありません。
厚生労働省の令和2年食中毒統計によると11月以降、2月頃にかけて発生件数が増加しています。中でも冬の食中毒の特徴として「ウイルス」が原因になっているものの割合が非常に高くなっています。

画像2.png

※出典:厚生労働省「令和2年食中毒発生状況」資料

実は、この冬場の食中毒の主な原因ウイルスが「ノロウイルス」と言われています。
「ノロウイルス」は手指や食品などを介して、経口で感染し、ヒトの腸管で増殖して、おう吐、下痢、腹痛、微熱などを引き起こします。また、感染力が強く、大規模な食中毒など集団発生を起こしやすいです。特に小さなお子さまや、高齢者の方は重篤化することがありますので注意が必要です。「ノロウイルス」についてはワクチンがなく、また、治療は輸液剤を点滴するなどの対症療法に限られます。
そんな「ノロウイルス」からご自身はもちろん、ご家族を守るためには、予防対策を徹底することです!具体的な対策を、長年に渡り洗浄や殺菌に関わる研究や試験に携わり、全国の食品工場において衛生管理の現場指導も実践されている、三重大学大学院 生物資源学研究科 福﨑 智司 教授に伺いました。  

※参考:厚生労働省HP「ノロウイルスに関するQ&A」

「ノロウイルス」にアルコール除菌は効きにくい?

「ノロウイルス」はロタウイルス、アデノウイルスといったウイルスと共に「ノンエンベロープウイルス」と呼ばれ、アルコールに強く一般的なアルコール除菌が効きにくいとされています*。これら「ノンエンベロープウイルス」は、次亜塩素酸ナトリウムなどの塩素系除菌剤を用いることが有効です。

p_entry03_02.jpg

*「ノロウイルス」の代替ウイルスであるネコカリシウイルスに対するエタノール系消毒剤の不活化効果が調査された結果、ノロウイルスに対する不活化効果を期待できるものがあるとの報告が国立医薬品食品衛生研究所より発表されています。

「ノロウイルス」の予防

「ノロウイルス」についてはワクチンがありません。その為、ご家庭などでできる以下3つのポイントに注意し、「ノロウイルス」をはじめとしたノンエンベロープウイルスに効果的な"次亜塩素酸ナトリウム"を活用し、対策を徹底しましょう!

①食品からの感染を防ぐ

「ノロウイルス」は牡蠣、しじみ、あさり、ハマグリといった二枚貝の体内(中腸腺)に蓄積されているケースがあります。それを人が食べることで感染してしまいます。その為、これら二枚貝からの感染を防ぐためには中心部が85℃~90℃で90秒以上の加熱が必要とされています。
また、これら二枚貝を取り扱ったまな板や包丁、食器、ふきんなどは使用後しっかりと除菌する必要があります。調理器具は洗剤などで十分に洗浄したうえで、有効塩素濃度200ppmの次亜塩素酸ナトリウム水溶液に浸漬すること、浸漬が難しい場合は十分に浸み込ませて拭くことで不活化できます。浸漬または清拭後、水洗いや水拭きをしっかりして殺菌処理は終了となります。熱湯(85℃以上)で1分以上の加熱消毒も有効とされています。

②人からの感染を防ぐ

ご家庭で「ノロウイルス」が発生した場合、感染した人の便やおう吐物からの二次感染や飛沫感染を予防する必要があります。これらの処理にあたっては、塩素濃度200ppmの次亜塩素酸ナトリウムで浸すように床を拭き取ることが有効です。
またおむつや、ふき取りに使用したタオルなどは、ビニール袋に密閉して廃棄します。(この際、ビニール袋に廃棄物が充分に浸る量の塩素濃度約1,000ppmの次亜塩素酸ナトリウムを入れることが望ましいです。)もちろん処理後は必ずハンドソープなどでしっかりと手を洗いましょう。

※参考:厚生労働省HP「ノロウイルスに関するQ&A」

このようにこれからのシーズンは、次亜塩素酸ナトリウムを活用して「ノロウイルス」の対策を徹底しましょう!

「次亜塩素酸ナトリウム」とは

食品添加物(殺菌料)の基準を満たした次亜塩素酸ナトリウムは、食品など直接口に入れる食材への使用が出来る一方、その濃度によっては高い漂白効果から肌を傷つけてしまうことも。下記を参考に、正しい使用濃度をチェックしましょう。

<使用濃度について>

  • 野菜の殺菌/100ppm~200ppm
  • 調理器具の殺菌/200ppm
  • ノロウイルス対策の環境洗浄/200ppm
  • 嘔吐物の処理/1,000ppm

※参考:厚生労働省HP「ノロウイルスに関するQ&A」/大量調理施設衛生管理マニュアル/東京都健康安全研究センター「ノロウイルス対策緊急タスクフォース」最終報告書

※ppmとは
次亜塩素酸ナトリウムの濃度は「ppm」という単位で表示されていることが多いです。「ppm」とは、「%」同様濃度を表す単位で、「%」が100分の1であるのに対して、「ppm」は100万分の1(parts per million)の意味です。すなわち、ppmは「mg/kg」のことであり、水の比重は1.0なので「mg/L」で表されます。

プロフィール紹介

  • 三重大学大学院 生物資源学研究科
    福﨑 智司 教授

    1991年3月 広島大学大学院醗酵工学科博士課程後期修了(工学博士)。4月 岡山県工業技術センター入所、食品技術グループ長、研究開発部長を歴任。2013年から三重大学大学院生物資源学研究科 教授。洗浄・殺菌技術の学術研究を行う傍ら、全国の食品工場において衛生管理の現場指導を実践。科学技術庁長官表彰研究功績者賞(1999年)、日本防菌防黴学会学会賞(2020年)等を受賞。著書に「次亜塩素酸の科学 ―基礎と応用―」(2012, 米田出版)、「次亜塩素酸の基礎と利用技術」(2021, 幸書房)がある。