MENU

ストレス研究室

ココロもカラダもハッピーに♪
「笑顔」の処方箋

「笑う門には福来る」という縁起のよいことわざがあります。
実際に、笑うことは健康にとって嬉しい効果をもたらすことが分かってきました。

大西淳之先生

監修:大西淳之先生
東京家政大学 家政学部 栄養学科 教授

「笑い」の健康効果

健康になるために大切なことは、「楽しく笑う」ことです。愛想笑いや苦笑いではなく、心から楽しさを感じて笑うことにより脳がリラックスし、体にも嬉しい影響が現れます。

「笑い」の健康効果
  1. ①緊張をほぐす

    笑うことで楽しい気持ちになったり、気分が晴れてすっきりとしたりする経験はありませんか?実際に、笑って「楽しい」と感じることで、不安や緊張が和らぎ、心を落ち着かせることができます。
    私たちの体には交感神経(体を緊張させる神経)と副交感神経(体をリラックスさせる神経)からなる自律神経が働いています。笑うことによって副交感神経の働きが活発になり、不安や緊張などのストレス状態を緩和させることができます。

  2. ②食後血糖値の上昇を抑える

    食後の血糖値が著しく上昇する糖尿病患者の方々に協力していただき、実験を行いました(下記図1)。すると漫才を観て笑った後の方が、食後血糖値の上昇が抑えられていました。このように「笑い」が血糖値上昇の抑制にも関与していることが注目されています。

    【図1】
    食後血糖値の変化を測定します。
  3. ③病気の予防や痛みの緩和にも

    笑うことで病気にかかりにくくなることも分かってきています。笑うと体を病気から守る免疫細胞の働きが適正に調節されます。また、笑うことにより脳内に分泌されるホルモンには、痛みを緩和する作用があります。

元気になる「笑い方」のコツ

  1. ①声を出して笑う

    声を出して笑うと、笑いながら大きく息を吐きます。大きく息を吐くことは、深呼吸と同じ効果があると考えられます。自律神経のバランスが整い、より一層心を落ち着かせることができます。

  2. ②誰かと一緒に笑う

    周りが笑っていると、それにつられて笑ってしまうことはありませんか?このように笑いが起こりやすい環境にいることも効果的です。一人でテレビを見て笑うこともよいですが、漫才や落語の観覧など、大勢で笑うことで、より大きな笑いにつなげやすくなります。

  3. ③1日15分間は笑う

    15分間、連続して笑い続ける必要はありません。1日の中で笑った時間の合計が15分になれば構いません。声を出して笑うと、横隔膜が活発に動きます。これは同じくらいの時間、掃除をした消費カロリーに相当する運動量です。また、毎日笑うことで先に述べたような健康効果が維持されるのではないかと考えられています。生活の中で意識的に笑いを取り入れるようにしましょう。

笑顔がポイント

「楽しく笑う」ことと同じように、表情豊かな「笑顔」も大切です。楽しく笑っているときの表情は、目の周りと頬の筋肉の動きにより作られます。それがリラックスのスイッチになると考えられます。本来は、自然とこの表情になることが理想的ですが、楽しく笑うことが難しいときは、それと同じように筋肉を動かしましょう(下記図2)。すると脳が笑っていると錯覚し、笑っている状態に近い効果が得られます。気分をほぐしたいときに、ぜひお試しください。

【図2】
箸やペンを横向きでくわえる

箸やペンを横向きでくわえます。
すると目の周りと頰の筋肉が動き、
自然と笑っている表情を作ることができます。

「日頃からストレスを感じている」「体調が悪いと、気持ちが落ち込む」 ・・・など、笑うことが難しいときもあるでしょう。しかし、そのようなときこそ意識して「笑う」ことで、辛さがラクになるかもしれません。笑顔があふれる、健康で楽しい毎日を過ごしていきたいですね。

先生からの一言
ストレス研究室 記事一覧へ