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ストレス研究室

良質な睡眠のために押さえておきたいポイントとは?

よく寝たはずなのに眠い、疲れているのになかなか寝付けない、
こんな悩みを抱えている人は「睡眠の質」が低下しているのかもしれません。
快眠のために重要なのは自律神経を整えること、体温を上げることです。
本文で詳しく説明します。

白濱龍太郎先生

監修:白濱龍太郎先生
RESM新横浜 睡眠・呼吸メディカルケアクリニック理事長

睡眠の仕組みとは?

人は、メラトニン※1が関与する生体リズムとオレキシン※2による覚醒システムのバランスにより眠くなります。

生体リズムは体内時計によってコントロールされており、体内時計は2つの自律神経(交感神経・副交感神経)がバランスをとることで調整されています。交感神経は心と身体が活発に活動するための神経で、日が昇り始めるとともに活性化し、昼頃にピークを迎えます。一方、副交感神経は一日の身体活動で傷ついた細胞を修復するための神経で、これが活性化すると心も身体もリラックスした状態になります。副交感神経は日没から働きが活発になり、睡眠中にピークとなります。

覚醒システムに関わるオレキシンは昼間にたくさん分泌され、夜になると分泌されなくなっていきます。夜間のオレキシン分泌を抑え、快眠に導くためには、体内時計を整えることが大切です。最も有効な方法は、毎朝同じ時刻に起き、起きたら太陽の光を浴びることです。ただし、夕方以降に強い光を浴びると体内時計が後ろにずれていきます。夜になったら部屋の照明は暗めにして、パソコンやスマホもなるべく見ないほうがいいでしょう。

※1 脳の松果体(しょうかたい)から分泌されるホルモンで、体を覚醒した状態から睡眠へと切替える働きを促します。
※2 脳の視床下部で作られる神経伝達物質で、覚醒の維持にかかわっています。

睡眠と体温の関係

睡眠時には末梢の血流が増加して、熱を放散するため、手足の体温が上昇します。それに伴い、深部体温(身体の内部の温度)は低下します。人は深部体温が低下している時ほど眠りにつきやすくなります。例えば、手や足に冷えのある人は血行が悪く熱が放散されないために深部体温が低下しにくく、寝つきが悪くなる可能性があります。入浴などで手や足の血流を高め、熱の放散がうまく行われるようにすることでスムーズに眠りにつくことができ、睡眠の質を高めることにつながります。
快眠のために実践したい習慣を掲載します。ぜひ参考にしてください。

快眠のために実践したい習慣

  1. ① 電車の中で眠らない

    夕方以降、帰宅時の電車の中で眠ってしまうと上がるはずの体温が上昇せず、眠る時間になっても体温が下がらなくなります。そうなると睡眠のリズムが崩れ、なかなか寝付けなくなります。

  2. ②階段を使って入眠のスイッチオン

    血流を高め、熱の放散がうまく行われるようにすることで夜に体温が下がりやすくなります。その働きかけの一環として、帰路の駅内ではエスカレーターではなく階段を使うことをおすすめします。体温を意識的に上げておくことでその後放熱により体温が下がりスムーズな入眠につながりやすくなります。
    逆に激しい運動を就寝前の3時間以内におこなうと体温が上がってしまい交感神経を刺激し、興奮してなかなか眠れないので注意しましょう。

  3. ③お酒は寝る3時間前まで

    お酒を飲むと一時的に血行がよくなり、体温が上がります。その反動で体温が下がるためスムーズに入眠できるのではと考える人もいるでしょう。確かに眠くなりますが、アルコールは摂取してから3時間ほど経つとアセトアルデヒドという毒性物質に分解されます。これが交換神経を刺激し覚醒効果を生じさせます。お酒を飲むタイミングは激しい運動と同じく就寝の3時間前までにしましょう。

  4. ④ブルーライトに要注意!

    スマートフォンやタブレット等のディスプレイから発せられる光はブルーライトと呼ばれ、睡眠の質を低下させる可能性があります。ブルーライトは交感神経を刺激する働きがあり入眠の妨げになります。睡眠の1~2時間前はスマートフォン等ブルーライトを発するIT機器を見ないようにしましょう。

就寝の1時間前のストレッチ

  1. ① 仰向けになり、背中に小さめのやわらかいゴムボールを置きます。

    仰向けになり、背中に小さめのやわらかいゴムボールを置きます。
  2. ②ゴムボールを背中で上下に転がして下さい。

    ゴムボールを背中で上下に転がして下さい。

スムーズな入眠のためには、就寝の1時間前までに体温を上げておくことが大切です。そこでおすすめなのが自宅でできる軽いストレッチ。ゆっくりとリラックスして行うことで、副交感神経にスイッチが入り、心も体も安眠へと導きやすくなります。ストレッチをおこなうタイミングは、副交感神経モードに切り替わりつつある入浴後がとくにおすすめです。

※無理のない範囲で行ってください。

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