アスリートの貧血ってどんなもの?

アスリートの貧血を知ろう

1. 貧血の基礎知識

 私たちが健康に活動できるのは、血液を介して酸素が身体の隅々まで行き渡っているからです。血液中で酸素を運ぶ重要な役割を果たしているのが、赤血球の中にあるヘモグロビン。貧血とは、ヘモグロビンが減ることで体内に十分な酸素が送られず、体が酸欠になる状態です。 貧血を引き起こす原因はさまざまありますが、もっとも多いのが鉄不足による「鉄欠乏性貧血」です。鉄はヘモグロビンの原料になるので、鉄分が不足するとヘモグロビンの量が減り、全身に運べる酸素の量も少なくなってしまいます。

2. 体内の総鉄量はどのくらい?

 成人の体内には3~4gの鉄があり、約65%はヘモグロビンの鉄、約30%は貯蔵鉄として肝臓や脾臓に蓄えられています。残りのわずかな鉄が筋などの組織や酵素、血清中に存在しています。鉄は体内で代謝、再利用され、ごく微量しか排出されません。排出が供給を上回り鉄が不足すると貯蔵鉄から補充されて均衡を保ちます。

3. アスリートは貧血をおこしやすい

 激しいトレーニングを続けるアスリートは体内の鉄需要が増加する一方で、汗や消化管から鉄の排出量が増え「鉄欠乏性貧血」をおこしやすい状態にあります。一般の人より食事量と内容に気をつけていないと鉄の供給が追いつかず鉄不足になりやすいので、注意が必要です。

鉄分不足の原因

4. パフォーマンスへの影響

 貧血で体が酸素不足になると、有酸素運動の能力が低下するので持久力が下がります。また、だるくなったりして競技パフォーマンスに影響が出たり、いつもできていた練習が思うようにこなせなくなったりもします。陸上長距離など持久系記録競技では、記録低下として如実に現れます。普段の練習がきつい球技系競技では、貧血になっても異変に気づきにくいこともあります。以前のような調子が出ない、一生懸命練習しても記録が横ばい、低下が続くというときは貧血を疑ってみましょう。

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