MENU

抑肝散について

3. さまざまな症状に効果がある漢方

「精神的に緊張状態が続いていて煮詰まってしまったとき、何に対しても普段より過敏に反応してしまう」「自分の力量以上の仕事をこなさなければならないとき、他罰的になり、怒りという形ででてくる」などの状態を「神経がたかぶった状態」と考え、その改善方法のひとつとして抑肝散をすすめることがあります。 特に、怒りに関連した諸症状(抑うつ状態、不安症、更年期障害、月経前症候群(PMS)など)、不眠、小児の夜なき、歯ぎしりなどがあげられます。

怒り

抑肝散を処方するときに大きな鍵になるのが、「怒りの感情」です。怒りっぽいとか、怒りを表面に出さずに押し殺している場合、怒りが自分に向かってしまう形のうつ状態なども多くあります。初対面なのに不機嫌で怒りをぶつけてこられる場合や、職場や学校でいじめに遭っているという場合も怒りが溜まっている状態ですので、抑肝散を選択してもよいでしょう。

更年期障害月経前症候群(PMS)の場合のように自分の感情をコントロールできないという訴えの場合もまず抑肝散を服用してよいと考えます。月経前症候群(PMS)ではずっと服用し続けてもよいのですが、排卵期から投与することも可能です。

高齢者で朝起きたときに不機嫌で怒りっぽい方にもおすすめしてもよいのですが、抑肝散と近い関係にある釣藤散の方がよいこともあります。

不眠

高齢者を中心に不眠の訴えは非常に多いものです。従来ベンゾジアゼピン系薬剤が処方されてきましたが、近年依存の問題で長期連用を避けるようになり漢方薬を希望される方が増えております。

不眠は漢方医学的には、①興奮状態による不眠②神経質な人の不眠③心身ともに過労で不眠になっているものと三つに分類されております。昔の用語では心熱、胆虚、虚労(体力が極端に弱く、日常生活を送ることも困難な方)という言葉が対応します。高齢の方は虚労のことが多いのですが、最近は90歳代でも虚労に入らない方も多く高齢だから虚労に使う漢方がよいとは簡単に言えなくなってきております。興奮状態の場合には黄連剤や柴胡剤を、また神経質な人の場合には温胆湯類が選択されることが多いのですが、この二つの症状が一緒にあらわれている場合は、抑肝散の服用を考えてよいと思います。寝付きが悪い場合も中途覚醒が多い場合にも抑肝散が有効なことがあります。

歯ぎしり

歯ぎしりは、日常的に見られる現象で、かみ合わせの矯正を受けていることが多いのですが、精神的な緊張が強い人で歯ぎしりをしている場合には抑肝散を服用することがあります。

続きを読む